Be Cool ビー・クール : 映画評論・批評
2005年8月30日更新
2005年9月3日より有楽町スバル座ほか全国東宝洋画系にてロードショー
久々に“黒さ”を感じさせるグレイ演出にニヤリ
シナリオ的な会話の妙と小気味よい場面転換がクセになる、クライム・ノベルの巨匠エルモア・レナード。映画化されたものの中でも上出来の部類に入る「ゲット・ショーティ」(95)の続編が忘れたころに登場だ。監督が、前作のソネンフェルドや「ジャッキー・ブラウン」のタランティーノにも洒脱さでは劣らぬF・ゲイリー・グレイというのも見識が高い。
しかし映画のリズムはなんともユル~い。やたら豪華なお祭り的キャスティングのせいもあるけれど、会話のテンポが丁々発止、というより「間」がすべてという感じ。久々に“黒さ”を感じさせるグレイ演出なのだが、舞台となる音楽業界……しかもギャングスタ・ラッパー絡みの事件が絶えぬ現在を、戯画化的にせよ巧みに写しとっている。
だからというべきか、凶暴だけど子煩悩で才もあるプロデューサーのセドリック・ジ・エンターテイナー、早とちりボケを繰り返す見習いギャングスタのアンドレ3000、隠せば隠すほどゲイ趣味が露になる俳優志望の用心棒ザ・ロック(!)といった非白人キャラが目立ちに目立つ。ま、セルジオ・メンデス&ブラック・アイド・ピーズという超豪華セッションをバックに踊るトラボルタ&サーマンのサービスにも、もちニヤリなんだけどね。
(ミルクマン斉藤)