アキハバラ@DEEP : 映画評論・批評
2006年8月29日更新
2006年9月2日より丸の内TOEI1ほか全国東映系にてロードショー
オタク対変態の秋葉原戦争
世界最大の電気街、秋葉原を舞台に、ベンチャー企業「アキハバラ@DEEP」を立ち上げたオタク5人が、自分たちで作り上げた革新的な人工知能型サーチエンジン「クルーク」を巡って、巨大IT企業「デジタルキャピタル(=デジキャピ)」に戦いを挑むストーリー。
それぞれに吃音、潔癖性、色素欠乏症、謎の発作の持病などをもつオタク5人と、女の子を隔離した部屋に入れ、ペットとして鑑賞することを楽しんでいる変態IT社長・中込(佐々木蔵之介が怪演!)のキャラクターが立っている他、PowerbookやAQUOSなどのブランド物を所有するデジキャピ側と、偽ブランドを組み合わせた自作コンピュータを使用するアキハバラ@DEEPとの対比で、前半はそこそこ楽しめる。
だが、中込に盗まれた「クルーク」を奪還するためにデジキャピ本社侵入作戦を描く段になると、急に映画が幼稚になり、まるで東映のお家芸である戦隊モノの趣。石田衣良の原作では見せ場だった「クルーク」のネットへの開放シーンも見事に省かれ、ありきたりなラストになってしまった。インド人ブローカーがパーツ屋を営む秋葉原の裏通りの描写など「ブレードランナー」やウォン・カーウァイの描く香港のような雰囲気のある映像で撮っていただけに、ラストが悔やまれる。
(編集部)