「過失致死と嘱託殺人」愛の流刑地 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
過失致死と嘱託殺人
越中おわら節で有名なおわら風の盆は未だ見たことがない。富山県に住んでいたにも拘らず!である。この映画でも数人が踊っていましたが、本物はこんなものじゃないはず。もっともっと壮大で、艶やかで、勇壮で、哀愁に満ちているはずなのです。その女性の踊りに見られる手の動きから、小説家村尾菊治(トヨエツ)は入江冬香(寺島しのぶ)を富山県出身だと見破ってしまう。ここがこの作品で一番素敵なところでしたが、北陸出身などと言わずに「富山か徳島では?」と聞かなかったところがミソです(そうかな?)。
渡辺淳一の映画化作品といえばほとんどがポルノだと思うのですが、今まで見てきた『化身』『失楽園』『メトレス』などよりはストーリーがあるのでずっと良かったです。何しろ不倫相手冬香は冒頭で死んでしまうのですから、裁判や冬香の真意などミステリアスな部分もあり、普通に楽しめる内容となっていました。その反面、濡れ場の激しさは黒木瞳なんかには負けていたかもしれません。
俳優で良かったのは貫地谷しほりと富司純子で、彼女たちの泣きの演技は真に迫るものがありました。しかし、弁護士役の陣内孝則と検事役の長谷川京子がダメ。まるで笑いながら尋問するかのような陣内さん。弁護して嘱託殺人の罪を勝ち取る意気込みが全く感じられないのです。そして、長谷川京子の台詞棒読み陳述は全く迫力のない検事・・・まぁ法廷シーンがメインじゃないと言われればそれまでですが・・・
なぜだか長谷川京子検事がTEACのオープンリールデッキで情事の様子を聞いていたシーンが印象に残りますちゃ。小型カセットテープレコーダーにオープンリールの対比にどのような意味があるのかわからんけど、このオープンリールデッキは一体どこから仕入れたがやろか?