劇場公開日 2005年7月30日

「普通のアクション映画」亡国のイージス mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0普通のアクション映画

2025年3月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「亡国のイージス」をようやく見た。

以外と面白い。というのが素直な感想。

たしかに、坂本順治監督作品としては、?という感じはある。あまり監督の顔が見えない映画だった。監督のファンの私としてはもの足りなかった。「KT」などの方が出来がよかった。

ただ、いろいろ試している感じが別な意味で面白かった。

たとえば、ストーリーは原作を端折るしかないので、どこまで映像的に圧縮できるか、試しているように思う(イメージカットをインサートしたり、役者を豪華に使ったりして、説明なしで映像のみでその背景を観客に想像できるか、というようなこと)。それは成功したような成功しなかったような‥‥。中途半端ではあった。

もっと、ストーリーをシンプルにして、背景については、観客が混乱するくらいもっと削ってもよかったのでは。例えば、米国映画「大統領の陰謀」みたいに。原作は日本の防衛論についてかなり踏み込んでいるようだが、映画では、時間的にそこまでは無理だと思うし、ストーリー自体は「ダイハード」のようなもので、ゴールは見えているわけだし、あとは見せ方だけだし。

もうひとつは、本物の自衛隊を使って、どこまで本物の戦闘の雰囲気を出せるか。前半の伴走船をロケット砲(名前が知らなくてすみません)で沈めるシーンは最高の緊迫感だった。
ここでこの映画の見せ場は終わってしまった。あとは、まあ邦画ではよくできたアクション映画というぐらい。

坂本順治の「トカレフ」や「KT」は、ドカっと生肉を画面に放り出したような迫力があった。「トカレフ」にいたっては、ストーリーがまったくできていない、いびつなストーリーだったが、その点がまた不気味だった。

それに比べると、普通のアクション映画。

mac-in