「幽霊は吸い込んで倒せ!」ゴーストバスターズ(1984) 因果さんの映画レビュー(感想・評価)
幽霊は吸い込んで倒せ!
B級スレスレの温度感をド派手なVFXが韜晦した、まさに極上のムダ遣い映画。ニューヨーク大学から名誉毀損で訴えられてもおかしくないバカ教員とその仲間たちが幽霊退治で一儲けしようと企む。日本の幽霊は貞子みたいな怨恨ありあまる無口な色白女ばかりだが、本作の幽霊はもっと多彩でパッションに溢れている。冒頭のホテルで暴れ回る鼻水みたいな幽霊に始まり、そしてかの有名なマシュマロマンへ。コメディからホラーまでものすごく広範なスペクトルを有していて、だからこそこの国では幽霊を単なる娯楽として享受できるんだろうなと思った。思えば幽霊をゴミかホコリの要領で「吸い込む」ことによって除霊するというのも、幽霊=何か神妙で畏敬すべきものであるという認識が強い日本では絶対に出てこない発想だ。もうこの発想だけでアッパレというか、日常を異化する装置としての映画の要件をしっかり満たしている。
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