「【”実存は本質に先立つ。”今作は、従来のウィルスパニック映画とは一線を画す、生き残った人間達が様々な経験をする中でも、生きる希望を捨てない実存主義的ウィルスパニック映画である。】」28日後... NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”実存は本質に先立つ。”今作は、従来のウィルスパニック映画とは一線を画す、生き残った人間達が様々な経験をする中でも、生きる希望を捨てない実存主義的ウィルスパニック映画である。】
■粗筋
・流石、ダニー・ボイル監督作だと思う。ウイルスに感染した人たちが崩壊させた”隔絶した島、英国。”と言う設定の妙。
・混乱と恐れと怒りの中、希望を捨てずに生きようと次々に様々な手段を選択して行く、ジム(キリアン・マーフィ)と、奇跡的に出会ったセリーナ(ナオミ・ハリス)、フランク(ブレンダン・グリーソン)、ハンナ(ミーガン・バーンズ)親子。
・特にジムの、冒頭事故で病院のベッドで裸体で横たわる姿からの、セリーナ、マーク
(ノア・ハントリー)と出会い、マークが罹患した後に出会ったフランクとハンナと無人のショッピングセンターで楽しそうに、買い物をする姿。
・彼らは、生き残っていると思われる軍隊の小隊を目指し、旅に出るが、到着したところで、フランクが感染してしまう。
・だが、生き残った3人は、ヘンリー・ウエスト少佐(クリストファー・エクルストン)等に、歓迎されるが、少佐たちは種の保存と、欲求のためにセリーナとハンナの引き渡しを求めるのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・設定が秀逸である。
多くのパニックウイルス映画では、ウイルスの発見から一気にパンデミック状態になって行く様が見所であるが、今作ではその状況は映されずに、それがひと段落着いた28日後から始まる所である。
・又、キャラクターとしてはキリアン・マーフィ演じるジムの、目覚めた時には裸体(敢えての演出と思われる。)であるところから、様々な恐ろしくも哀しき出来事や、束の間の仲間との心落ち着く時を過ごす中で、彼は弱き人間から成長して行くのである。正に、”実存は本質に先立つ。”なのである。
・そして、ヘンリー・ウエスト少佐率いる隊との戦いの後に、セリーナ、ハンナ、そしてジムは餓死した感染者たちの脇を通り抜け、”島国英国”内の海と山とが見える一軒家で、飛来して来た飛行機に布でSOSのサイン「HELLO」を示し”これで、伝わったわね。”と笑顔を交わすのである。
<今作は、従来のウィルスパニック映画とは一線を画す、生き残った人間達が様々な経験をする中でも、生きる希望を捨てない実存主義的ウィルスパニック映画なのである。>