「メイベルは孤独との付き合い方が下手なのでは」こわれゆく女 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
メイベルは孤独との付き合い方が下手なのでは
メイベルが精神的に不安定になる理由は、孤独との付き合い方が上手くないからではと思う。一人の時間を楽しく過ごすだけの趣味や取り組むべきことが何も無く、それが夫や子供への過剰な依存につながっているように見えた。そのため、家族がいない時間は空虚になり、それに耐えかねて発狂に至ったのかなと推察した。彼女を演じたジーナ・ローランズの狂気の演技も、リアリティがあって良かった。
彼女もおかしいが、夫のニックも感情的で暴力的で、実は中々おかしい。その割には意外と慕われているようで、広い交友関係を保てているのも不思議だった。
ラストの何事も無かったかのように家の片付けを2人で始めるシーンは意味が分からなかった。今作が描きたいのは、夫婦の愛なのか精神的におかしくなっていく人の姿なのか、結局何だったのかと思わされる。今作のジョン・カサヴェテス監督の『グロリア』もそうだが、過大評価されているんじゃないかと思える。
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