「いやー、すごいものを見た。社会学で言う「パッシング」を扱った映画が...」こわれゆく女 ouosouさんの映画レビュー(感想・評価)
いやー、すごいものを見た。社会学で言う「パッシング」を扱った映画が...
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いやー、すごいものを見た。社会学で言う「パッシング」を扱った映画がとても好みなので(高畑勲『かぐや姫の物語』とか)、これも心打たれるというか、とても好きだった。
狂気という箱に入れられたメイベル(と子どもたち)だけがまともだよね??あとはみんなちょっとずつ変。メイベルのお母さんはまだましか。自分を尊重されないものが、自分の尊厳を守ろうとするときに出る叫びが、世間では“狂気”とされる。ドアに貼られた“PRIVATE”の札、アレが最後の砦と言うか、まさに心を守る御札だったんだろう。
メイベルが挙げた“5つの大事なもの”がそのまま、自分を殺す呪いになっている。周囲が掛けた呪いを必死に繰り返すうちに自分を縛り上げてしまった。
「(私のことを)バカだと思ってる」というメイベルの言葉(字幕そのままではないかも)も忘れられない。元々明るくて陽気だったのかもしれないけど、それが周囲から求められる枷でもあったよね、きっと。退院して夫がメイベルに繰り返し言わせようとした言葉があれだもの。強要される“自分らしさ”ほど強い呪縛もなかろう。
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