「【”破綻の美学及び抑制したエロティシズム・・。”今作を観ればウォン・カーウァイ監督が築いて来た唯一無二の美学が横溢する世界観に浸れます。今作にストーリー展開を求めてはイケマセン・・。】」2046 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”破綻の美学及び抑制したエロティシズム・・。”今作を観ればウォン・カーウァイ監督が築いて来た唯一無二の美学が横溢する世界観に浸れます。今作にストーリー展開を求めてはイケマセン・・。】
ー 昨年末にウォン・カーウァイ監督が製作した、「恋する惑星」「天使の涙」「ブエノスアイレス」「花様年華」及び今作「2046」が4Kリマスターが公開された事は、ウォン・カーウァイ監督の作品を愛するモノであればご存じの通りであろう。
ああ、観たよ。ある一作を除いて、レイトショーで観たよ。
で、手元には当然、ー”今、ふたたびそれそれの<時>が鮮やかに動き出すーという魅力的な惹句が書かれたフライヤーがあるのである。-
◆感想
・今作のストーリーは、様々な要因故に破綻している。木村拓哉さんが演じるタクの位置づけも不明瞭であるし(決して、彼の責任ではない)近未来を描いた作品設定も巧く機能していない。
・だが、私が今作を指示するのは、主演のチャウを演じたトニー・レオンの圧倒的な存在感が屹立している点と、パイ・リンを演じたあの、「初恋の来た道」を演じた可愛らしすぎるチャン・ツィイーが哀しくも凛とした娼婦を演じている点である。
・更に言えば、今作では比較的に引いたアングルが多い、ウォン・カーウァイ監督の全作品のキャメラを担当したクリストファー・ドイルの画や、梅林茂氏の哀切なるメロディーが効いている点である。
ー 私の個人的な感想であるが、梅林茂氏の劇範が、一番効いているのは、故森田芳光監督の夏目漱石の「それから」であると思っている。
興味がある方は、ご鑑賞頂きたい。私などは、DVD購入は当たり前で、サントラも購入している・・。話が反れた・・。-
<今作は、故に難解な点もあるかもしれないが、(当然、「「ブエノスアイレス」「花様年華」に比べると分かりにくいであろう・・。)私は、今作に横溢するウォン・カーウァイ監督が一貫して描いて来た”破綻の美学及び抑制したエロティシズム”を激しく支持したいのである。>