「頭痛薬はウィスキーでのどに流し込む。便座は上げておく。わずか16ブロック先。あ、なぞなぞの答えは便座ブロックだ!」16ブロック kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
頭痛薬はウィスキーでのどに流し込む。便座は上げておく。わずか16ブロック先。あ、なぞなぞの答えは便座ブロックだ!
足が悪くて二日酔い。最初からヨタヨタ歩く姿はすでに傷だらけのジョン・マクレーン刑事の雰囲気が漂っている。しかし、完全なアル中気味のジャック・モーズリー(ブルース・ウィリス)はそんなにカッコよくない。ダメダメな刑事がとてもよく似合う男となってスクリーンに帰ってきたのだ。自分よりも若い上司に残業を頼まれて、簡単な仕事だと思ったから渋々ながら引き受けたものの、まさかこんな事件に巻き込まれるとは・・・
乗用車で護送するのが失敗だったのか、途中で酒を買おうと車を止めたのが失敗だったのか、とにかく運の悪さという点では『ダイハード』のブルース・ウィリスそのものでした。警察内部に真犯人がいる。20年来の同僚フランク(デヴィッド・モース)から意外な事実を告げられ、「お前もワルなんだから協力しろよ」などと仲間に引き込まれそうになったが、酒と頭痛薬とエディ(モス・デフ)から出されたなぞなぞのおかげで急に正義感が彼を支配する。咄嗟の判断で仲間の一人の足を撃ち、裁判所を目指して逃亡劇が始まるのです。
ブルース・ウィリス主演映画では久々に良かった。アメリカ万歳的な性格でもないし、正義感を振りかざす警官でもありません。エディの目に純粋な心を感じ、彼を証言台に立たせたいと衝動的に行動を起こすジャックにも純粋さが伝染したようにも見えました。そして、相手は悪人と言えども警官なので、殺そうとはしない。最初はエディに対しても「更正するはずがない」と信じてはいないし、彼の性格にも謎めいた部分があることを上手く描いてました。
チャック・ベリーやバリー・ホワイトだって更正して立派になったんだ(知りませんでした)。エンドロールが始まると早速バリー・ホワイトの曲が流れる。映画の内容も良かったので、チャック・ベリーの曲も流せばいいのに!なんて贅沢かもしれません。それにしても、エディは自分の誕生日も知らないくせに、他人の誕生日は覚えているという林家ペーのような粋な奴。バスに篭城していたとき、逃げないで飛び出してくるシーンにはちょっとウルウルしてしまい、ジャックもエディの全てを受け入れ贖罪することを決心したんでしょうね・・・
バスの乗客のグレースーツのあんちゃんが『ダイハード』のレポーターを演じていたウィリアム・アザートンのようにも見えたのですが、違っていたようです・・・残念。
【2006年10月映画館にて】
