劇場公開日 2003年9月6日

座頭市 : インタビュー

2003年9月5日更新

北野武の最新作は、往年の名作「座頭市」。芸人・ビートたけしの浅草時代の恩人、齋藤智恵子氏からの熱烈なオファーを受け、故勝新太郎の強烈なイメージがなお残るこのキャラクターに敢えて挑んだ監督の心境は?

北野武監督インタビュー

「これはエンターテインメントだから客は選んじゃいけないと思う」

編集部

北野武監督
北野武監督

――最初はオファーを何度か断ったそうですが、何故やろうと思ったのですか?

「いろんな権利とかあるけどそれを全部きれいにして、あんたがやっても迷惑かかんないようにしたからって言われて。時代劇に出たことないわけじゃないし、ちょっと面白そうだなと思ったの。ただ、勝さんみたいな座頭市では絶対にないよって言ったら、それでもいいって。座頭市っていう名前と、仕込み杖と盲目っていう設定さえあれば何やってもいいって言うから、じゃあ刀赤くしたり金髪にしたりっていろんなことやって。結果的にはありがたかったね。ちょっとでも勝さんくさいところは全部外して、勝さんのとは全然違う、でも座頭市には間違いないっていうのが出来たから。ただ勝さんのときは女の人との濡れ場が必ずあったんだけど、それを入れなかったのは今考えると残念だったかな(笑)」

――金髪で仕込み杖を赤く塗ったのは?

「いきなり金髪で座頭市って言ったら、みんな倒れちゃうと思って、『Dolls(ドールズ)』の公開前日に染めたんだけど。映画のオープニングでは、いきなりドン!と『座頭市』って出して、誰がなんと言おうと座頭市っていうような編集にして、余計なこと言わせないようにした。それはうまくいったかなって思ってる。金髪なのは座頭市がハーフだからだって言い張ってんだけどね(笑)。で、頭をこの色にしちゃうと帯と着物のバランスを考えて杖は赤になった。まあこれも正解だったよ。あれが普通の杖に見える白木の汚れたやつだと現代的にカッコ良くないし。それにそんな仕込み杖を使えば、ちょっと一般の人たちとの人情話になる可能性もある。でも、ハナっから金髪の頭で赤い漆塗りの仕込み杖もってりゃ誰にも相手にされない。単なる変わり者だから」

――初の時代劇を演出する上で難しかったことはありますか?

「難しくなりそうなところは全部省いたね。言葉遣いとか。現代語でやっちゃったし。“ナントカでござる”なんて言われたって困るし。時代劇と現代劇のエッセンスを並べてうまくやろとしたこともあるんだけど、(衣裳やら何やらは違うけれど)大して変わらなかったんだよね」

インタビュー2 ~北野武監督インタビュー
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