劇場公開日 2006年10月7日

「公開当時のレビューをアップしました。」ワールド・トレード・センター 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0公開当時のレビューをアップしました。

2009年9月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今週金曜日に日本テレビ系列でオンエアーされるので、公開当時のレビューをプログ日記からアップしました。
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 ネタバレしなくても、結末は予行編から生還者の物語と知らされています。
 ハッピーエンドの物語なのに、とても悲しくいたたまれない気持ちになりました。
 それは、助かって喜ぶ家族の知らせが届く前の葛藤が長く重く描かれていたからです。
 生存者の家族はまだしも、待てども戻らぬ被災者
の安否を案じたその他多くの家族の悲しみを容易に連想させてしまうのです。

 また、想像していたより事件は早く起こり、観ていて耐えがたくなるほど長い時間被災した警官は閉じこめられてしまうのです。そういう映画なんだと解っていても、余りにリアルなシーンの連続で、当時の被災者の方の痛みや苦しみが直に伝わってきました。
 きっと封切り時には、その衝撃に耐えきれずに席を立つ人が出てくることでしょう。ただいま病室に閉じこめれている身分としては余計に感じたのかもしれません。

 生死をさまよう被災した警官は、何度も家族との日曜を回想します。ほかの映画の中ではよくあるシーンかもしれません。でも極限状況と家族の状況をこれでもかといわんばかりに見せつけられたら、何気ない日常を家族と普通に送れることが、こんなにも幸せであったのかと思わず涙を誘われました。

 またこの作品で、生存者の救出に向かった隊員も命がけであったことを知りました。

映画『ワールド・トレード・センター』は、テロ行為について、映画『ユナイテッド93』と違って全く触れていません。

そう言う点で、テロリストを裁くのでなく、あの日事件に関わって被災した人、命を落とした人、救出しようとした人、そしてその家族の心の絆を描いた映画なんだと思います。

その想いが伝わってくるから、ぐぐっと泣けてきます(泣)
かなりリアルな映像だから決して心臓の悪い方はごらんにならないでくださいね。
わが分身とて、狭心症のオペを済まさないで、この作品みたら、きっと途中で心筋梗塞を起こして、帰天していたと思います。

難しい題材を、非常にリアルにかつ感動作にまとめあげたオリバー・ストーン監督の演出、構成に拍手を惜しみません。

流山の小地蔵