「実に芝居がかったリベンジ・アクションもの」V フォー・ヴェンデッタ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
実に芝居がかったリベンジ・アクションもの
時は近未来、2027年、第三次大戦後アメリカは没落し英国はヒットラーもどきのアダム・サトラーによる独裁国家に変貌、革命を起こすべく立ち向ったのがオペラ座の怪人のような仮面の闘士Vでした。原作がコミックだからでしょうか、SF感はあまりなく中世のヒーローもののような風変りなキャラ設定ですね。
話が進むにつれサトラー一味の恐ろしい過去の陰謀が明らかに・・、こともあろうに10万人もの市民をウィルス兵器で虐殺、ワクチンで大儲け自作自演のテロをでっち上げ圧政独裁の管理国家を正当化したのでした。(こんなウィルス映画があったとは知りませんでした・・)
Vは当時の人体実験の患者の生き残り、まさにVの血の復讐(Vendetta)ですが実在のガイフォークスという人物を被せています、彼は1605年11月5日の政府転覆未遂事件の実行犯です、この辺は英国人なら衆知の話なのでしょう。
ナタリーポートマンも丸刈りまでして大熱演でした、彼女の演じるイヴィー・ハモンドもまた家族をサトラー一味に殺された暗い過去を持っています、復讐劇ではありますが怪人Vとイヴィーの奇妙な絆の物語でもあります。ただ、投獄のシーン、そこまでやるのかは疑問です・・。
見どころはキャラクター設定なのでしょう、中世の騎士のような芝居がかった主人公、シェークスピアやゲーテの古典を引用したりして妙に格調高いのです、岩窟王がお気に入りのビデオというのは分かりますがジュリーロンドンのCry Me A Riverが愛聴盤というのは面白い。
リベンジ・アクション映画でこれほどひねった脚色はないでしょう、V単独犯では絶対無理とか資金はどうしたとか色々思いますが、そもそも芝居がかった演出なので上手く騙されました、流石ウォシャウスキー兄弟、2時間越えですが退屈せずに楽しめました。