トゥームレイダー : 映画評論・批評
2001年10月1日更新
2001年10月6日より日本劇場ほか全国東宝洋画系にてロードショー
ヒロインの魅力は大人の粋と遊び心があってこそ
全世界ですでに2400万本を売ったアクションゲームの映画化である本作は、開巻からヒロイン、ララ・クロフトの痛快なガン・プレイを見せて、流行のアクション大作かと思わせる。
ところが、次第に登場人物たちが生き生きと動き始め、深みが出てくるのだ。敵・味方の駆け引きの会話からお互いの頭の良さがわかったり、ハンター仲間アレックスの言葉には、直接言わずともララへの尊敬とくやしさが読みとれる。ストレートに言わない所がこの映画の粋で大人な所。そして、物語はララの成長へ向けて収束してゆく。銃をおもちゃに、おしとやかさとは無縁だったやんちゃ娘が大人の女へ変身してゆくのである。
ラスト、初めてのスカート姿で父の墓参りへ行くララ(ここで彼女は父の死を受け入れる)に、血の通った可愛らしさを覚えるのは、しっかりと人物造型が成された結果である。
サイモン・ウエスト監督は荒唐無稽のストーリーに、大人のユーモアと遊び心を巧みにブレンドして、原作ゲームの誕生した英国の粋なセンス(執事ヒラリーの魅力はまさに英国)を存分に楽しませてくれる。CGによる派手なアクションだけに力が入り、深みのない主人公ばかりが活躍する昨今、ララの強さとカッコ良さは同時に弱さと優しさを併せ持つ本物のヒロインを体感させてくれるのだ。
(岩井田雅行)