THE JUON 呪怨 : インタビュー
清水崇監督インタビュー 編集部
――例えば、ダリオ・アルジェントは「サスペリア」(77)や「インフェルノ」(80)などにみられる原色を多用した映像美という“こだわり”があります。H・G・ルイスも「血の祝祭日」(63)や「ゴア・ゴア・ガールズ」(72)などにみられる内臓への異常ともいえるほどの“こだわり”がありました。監督にとって「THE JUON/呪怨」での“こだわり”とは?
「アルジェントの美的感覚はすごいですよね。H・G・ルイスも低予算・短期間であれほどの見世物映画を作るというのは凄いと思います。あそこまで徹底的にこだわるのは並大抵ではないですよね(笑)。サムがオファーしてきた時点で『呪怨』の世界観を理解してくれているのは感じたので、あまり“こだわり”がぶつかるということはありませんでした。僕が大事にしていたのはやはり“和のテイスト”です。どうしてもアメリカだと乾いたドライなものになってしまいがちです。湿っぽい……ジメジメ、ギトギトした日本の薄暗い中にある“和のテイスト”、これにこだわりました」
――「THE JUON/呪怨」には、登場人物が気がつかない背後や死角にスッっと現れる“静”の霊も登場すれば、布団の中からガバッと登場する“動”の霊も登場したりして、バリエーションに富んでいます。どのように使い分けていたのですか?
「ずっと“動”のシーンが連続していては、観客も麻痺してしまうんです。“静”があっての“動”だし、“動”があっての“静”なんです。バランスが大事です。ハリウッド映画だと“動”ばかりなものも少なくありません。それは“和のテイスト”と同じこだわりといえるかもしれません。“静”があって、“動”がくると思ったら、ちょっとずらして“動”がくるみたいな(笑)。人の感覚をずらして怖がらせるためにはどうすればいいかということをいつも心がけています」
――作品を観ると、恐怖に支配されてしまうので、「鏡」とか「ドア」とか、そんなアイテムですら怖く感じてしまうんですよね。
「鏡を作品の中に登場させるのは好きなんですよ。『なぜそこに鏡があるんだよ! 気になるだろう!』みたいな(笑)」
――続編の予定は?
「企画は進んでいます。僕も今のところ監督として打ち合わせもしています。今年も既に1回、アメリカに行ってきました。でも、脚本が面白くなれば……という条件を出しているんです」
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