めぐりあう時間たちのレビュー・感想・評価
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鬱
1920年代、1950年代、2000年代と時代を交差する作りで、3人の女性の人生を描いていく物語。イギリス映画らしいくすんだフィルムも鬱々とした内容にマッチしていました。
彼女達が持つ「憂鬱」は、どんなに幸せに「見えた」としても他者に分かるものではありません。そう家庭を持ち、子供を持ち、仕事を持ち、経済的に恵まれていたとしても。
子供を持ったことに対して「幸せな女性ね」と言われ、微妙な表情をするローラ。数十年後に同じセリフをクラリッサに向けていうローラだが、クラリッサもまた眉をひそめて怪訝な顔をする。
この様に生に対して前向きになれない感情が多く含まれているので、分かる人にしか分からない哲学性があります。前向きさは意味を成しません。
「すべてのことがくだらなく感じるの」
「この先もっと幸せが訪れると感じた瞬間こそが最も幸せ」
「人生を奪われたのよ」
「人生から逃げたまま平和は得られないわ」
鬱々とした中でも人生を諦めずに、自己を突き抜ける女性達に、なまじの前向きさよりも大きな何かを貰えた気がします。
それにしても、ニコール・キッドマンは誰だか分からないです。女優凄い!
心の闇
無茶苦茶 久っさし振り、持ち合わせの DVD にて観賞◎
私の記憶が確かならば、pamphlet も持っている事やし、我が初回は劇場で観た筈である、きっと。
登場する3人の主役は、時代・国は違えど、各々が心に病(傷)を持ち、且つ それに全身全霊で翻弄されている。
で、3人を繋ぐのが Nicole Kidman 演じる Virginia Woolf の小説「ダロウェイ夫人」である。
「ダロウェイ夫人」の内容の如く、3人の女の一日が、同期して転がって行く。
破綻しそうで しない3人の行動━━。
観客の心に鑢はギリギリと掻けられる…。
本作だけで すっかり虜に させられた Stephen Daldry 監督の手腕も然る事ながら、やはり Virginia Woolf の心の闇に、私は惹かれてならない。。。
悪くないが、何故苦悩するのかをもう少し描いてほしい
総合:70点
ストーリー: 65
キャスト: 85
演出: 65
ビジュアル: 70
音楽: 65
自分を見失って精神的な苦悩を持つ女たちやその周囲の人々を描く。
三つの物語はそれぞれに面白そうなのだが、分散してしまったがゆえに何故彼女たちがこれだけ苦悩するのかがわかりにくい。
例えば二番目のローラの場合、良い家庭に恵まれながら、何故彼女は幸せを感じることがなく違和感を覚えるのかというような描写がない。ローラが登場したときには、すでに彼女はもう自分を見失い自分の人生が何かとか幸せとは何なのかがわからなくなっている。そのためその後自殺を図ろうとするのは、前のヴァージニアの話と物語の整合性を合わせるためだけのように感じる。背景を良く説明しないままに結論だけを持ってこられたという感じが少しある。もうちょっとそのあたりを詳しく描いてほしかった。
生きることには常に死がつきまとう
脚本が上手い。
人の"生"には常に"死"がつきまとう。
相容れることの無い絶対的な孤独を持った3人の女性の答えを探し求める心にドラマが生まれる。
人は死と対面することでその本当の意味を感じとるのかもしれない。
それとも、余りにも身近で感じとることが出来かったり、自然ととうざけているのかもしれない。
それは生きる人にとっては当然過ぎる判断だ。
しかし、死を前にした人にはそれは受け入れることのできるものなのだ。
複雑に絡み合う3つの時系列は決してうまくはいかない人生の複雑さをもの語っているよう。
静けさ中にも動きを持った映像は恐ろしさと優しさ、そして悲しみを持っているよう。
流石、演劇出身のダルドリーだ。
思わず感情的にならずには居られない。
主演の3人も素晴らしく、特にニコールは完全に英国の女性だった。
人生について考えたくなる一作。
何度も観たくなる作品 DVD特典も充実!
『ダロウェイ夫人』を執筆するヴァージニア・ウルフ(1923年・ニコール・キッドマン)、温かい家族の中で自分を見出せないローラ・ブラウン(1951 年・ジュリアン・ムーア)、かつて恋仲だった詩人の世話を焼くクラリッサ・ヴォーン(2001年・メリル・ストリープ)。3人の女性を主人公に、自己の魂に忠実な居場所を探し求める人々(それぞれが芸術と実生活、同性愛的傾向と異性愛の間で深く傷ついている)と、彼らをとりまく周囲の人々の献身を描いた作品。自分自身であること、他者に寄り添うことの意味をここまで突きつめた映画も珍しく、最後にローラが登場する場面はじんわりとした感動に包まれる。
3つの時代を結ぶデイヴィッド・ヘアの名脚本、フィリップ・グラスの美しい音楽も去ることながら、最大の見所はやはり3人の女優が見せる一世一代の名演にある。2枚組仕様の特典には、監督と原作者マイケル・カニンガムによる解説のほかに、ニコール、ジュリアン、メリルのコメンタリーも収録されていて、面白い(Disc 1)。なかでもラストシーンに関するエピソードは印象的で、50年後のローラを最初は別の俳優を使って撮ったが、説得力がなく、ジュリアンのスケジュールが空くのを待って撮り直したのだという。スタッフとキャストが一丸となって、映画に生命を注いだのがよくわかる逸話だ。
コメンタリー以外にも、メイキングやウルフ関係の映像、作曲家自身による音楽解説を見ることができる。心ゆくまで映画を堪能したい方には、この2枚組が断然オススメ。
構成が難しい…
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