テッセラクト : インタビュー
「ベルベット・ゴールドマイン」で注目を浴びてから着実にキャリアを重ね、最近ではオリバー・ストーン監督の「アレキサンダー」にも出演している英国の俊英ジョナサン・リース・マイヤーズ。多国籍なスタッフ、キャストが顔を揃えた本作で主演を務めた感想を聞いた。
ジョナサン・リース・マイヤーズ インタビュー
「常にショーンと同じ状況に自分を追い込んでいたんだ」
編集部
――この作品のオーディションの話がきた時、とても嬉しかったそうですね。
「もともと原作は読んでいたけど、オキサイド・パンによって映画化されると知って、とても興味深く思った。そうしたら、この役のオファーがきて、脚本が送られてきたんだ。全てが同時に、シンクロニシティに起こったんだよ。その後、タイにいる監督に会いに行って、全てが順調に、エキサイティングに運んでいったんだ」
――脚本を初めて読んだ時の印象はいかがでしたか?
「第一印象は“原作と随分違う”ということだった。監督はキャラクターそれぞれの本質をつかんで、それに感情を与えてこの映画を作ったんだと思う。僕の演じたショーンは、この映画の“ハート”、つまり芯の部分。そして“恐怖”の部分はマフィアたち、サスキア・リーブス演じる女性ローザや少年ウィットが体現するものは“愛情”、そしてフォンという女性は、彼女のボーイフレンドへの愛情や分かり合えないもどかしさを表現しているという具合にね」
――撮影現場で苦労した点はありますか?
「監督は非常に集中力があり、プロとして徹底しているから、苦労は少なかったかな。彼は撮影現場で親愛の情を露わにするようなタイプじゃなくて、時には自分に向けられたカメラが銃口のように感じられることもあったけれど、それは演じるにあたってはとても良かったと思う。常に監督に対して怯えたような気持ちを持っていた方が、異邦人で常に脅威を感じながら生きているショーン自身の感情に入り込めるからね」
――演じる上で工夫したことなどはありますか?
「撮影のためにバンコクで滞在しているときに感じたのは、ショーンが感じたことそのものだったと思う。今回はなるべく演じるキャラクターと同じことを感じたいと思ったから、仕事が終わってもホテルの部屋にこもって、常にショーンと同じ状況に自分を追い込んでいたんだ。とても疲弊したし、時々恐怖も感じたけど、このキャラクターを演じるにはこの方法しかないと思ったんだ」
――「ベルベット・ゴールドマイン」で演じた“作られた役”とは反対で、ご自身の等身大の姿に近いということですね。
「僕は演技を学んだ経験はないから、演じるにはキャラクターが感じたことを自然に自分の感情から喚起させる、というやり方しかないんだ。『ベルベット・ゴールドマイン』では、衣裳やメイクの力で自分とは全く違うその役に入ることが比較的簡単だったけれど、今回はずっと自分を鏡で見ているような、しかも自分の魅力的でない部分を見ている気持ちで非常に大変だったよ」