「空港生活を快適なものにする努力が観ていて面白い」ターミナル(2004) 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
空港生活を快適なものにする努力が観ていて面白い
随分前に観たとき、終盤空港で主人公ビクターが大勢の人間に見送られるシーンや、ビクターの帰国を阻止するべく清掃員のグプタが飛行機を止めるシーンが、いかにもお涙頂戴的で子供っぽく思えた。そのためあまり好きでは無い印象が強く残っていた。今回改めて観てみたが、やはりその印象は変わらない。
それから、空港の警備局主任のディクソンの人物像がいかにも分かりやすい悪役なのも、今作に対して子供っぽい印象を持ってしまう要因になっていた。執拗にビクターに対する嫌がらせに固執して、ビクターを擁護するグループと敵対する分かりやすい構図を作っているのが、安易な人物描写という印象を受けた。
しかしそれ以外のシーンは面白い。主人公ビクターが空港でどうにか生き残ろうと金を稼ぐ術を身に付け、独学で英語を習得し、その人柄で仲間を作る。何も無い状態からスタートした空港生活を、知恵を絞って快適なものにする努力が観ていて面白い。また、ヒロインのアメリアとの恋愛要素もストーリーを華やかにしていた。
終盤のビクター見送りシーンの登場人物を直接交流があった人間だけにして、ビクターの帰国阻止を仲間による粘り強い説得など別の理由にし、ディクソンの人物像をもう少し多面的な設定にしていたら☆4以上を付けたかもしれない。
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