劇場公開日 2004年12月18日

ターミナル(2004) : 映画評論・批評

2004年12月15日更新

2004年12月18日より日劇1ほか全国東宝洋画系にてロードショー

ホロリとさせられるマイノリティーによる人情噺

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空港の中に国境がある。地図の上の山や川ではなく、人が大勢行き来する場所にこそ、人間の思惑が渦巻く場所にこそ国境があるのだと、実感させられる映画だ。突然故国が消滅し、空港ターミナルから出られなくなったビクター・ナボルスキーが対峙するのも、この人の国境だ。

法律の隙間に落ち込んで進退窮まった彼を、法律のケーススタディにするのではなく、人間対人間のドラマの中でサバイバルさせるところが、人情噺が好きなスピルバーグらしい。しかも、空港という国境を機能させるために働いている裏方の労働者たちは、かつて国境を越えてアメリカに入国するのに苦労させられたマイノリティーたち。パスポートに守られて足早に空港を出て行く人には冷淡な彼らが、税関で捕まったロシア人を救ってから、ビクターを同類として認めて受け入れていくあたりは、定番の描写だけれど、やっぱりホロリとさせられる。

ビクターとスチュワーデスの恋は必然性がないが、2人を盛り上げようとするインド人、グプタの愛らしさには爆笑&涙。本物と見紛うばかりのターミナルのセットと、久しぶりにフィジカル・ギャグで運動神経の良さを見せるトム・ハンクスにも拍手だ。

森山京子

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