心の指紋のレビュー・感想・評価
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儚い美を味わえる映画
ナバホの伝説を信じる強盗殺人犯で末期ガンの少年と、少年の人質となったエリート外科医の交流を描くロードムービー。
少年が目指す地はどんな病も治癒すると言われる聖なる湖のある山。医師の回想場面のモノクロ映像が美しくて好きだ。
エリート医師は誘拐されて道連れとなったので当然抵抗はしているが、心に傷を持つゆえ徐々に不安定になり、最後は少年との心の交流とともに幕を閉じる事となる。
ラストで、『美よ前にあれ、美よ後ろにあれ…』と少年は聖なる湖へと走り、湖上で姿を消す。この情景が美しすぎる。この場面だけで、本作の評価は私的にだいぶ上がる。死に際に人が求めるものは美。結局少年はガンで死んだだろう。それをあんな風に表現する美意識がとても好きだ。あとは、少年の儚げな雰囲気が美しい。エリート医師が内に秘めた心の傷の描写が美しい。それらを感傷的な映像と演出で表現し、まるで美しい夢を見てるような感覚にもなる。設定やストーリーのみならず、そういう部分も大好きで、私的には特別な映画だった。
2023/02 CS
良さそうなわりに残念な映画
良さそうなわりに残念な映画。
末期ガンの少年受刑者とその担当医のロードムービー。誘拐から徐々に運命を共にする逃避行となり目的の地へと向かう。こう説明しても悪くなさそう。
しかし、担当医のキャラクターが途中何度もぶれる。これがほんと見ていてしんどい。
通報したり逃げようとし、彼を軽蔑するわりに、自ら車を暴走したり、ときに医師としての責任を遂げようとしたり、共犯者となったり。これ、グラデーションでその心の移り変わりを演出してるならいいが、その場その場でコロコロとキャラクターを変える。あと兄と指輪のくだりって序盤から見せるわりに流れてる。
キャストは悪くないと思うので、もう演出とシナリオがダメなんだと思うしかない。たぶん演出だろうな。このテーマで終盤で冒険ものみたいになる、あれは完全に外している。
遺作になってしまった
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