劇場公開日 2004年7月10日

「"ヒーロー"映画として傑作の一本。」スパイダーマン2 NandSさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5"ヒーロー"映画として傑作の一本。

2023年8月29日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波、VOD

悲しい

興奮

幸せ

前提として
・3回目ぐらい
・前作『スパイダーマン』は視聴済
・サム・ライミ監督の他作品だとMARVEL作品を視聴済
・原作と思しきものは未読

前作よりも色々な面でパワーアップして帰ってきた『スパイダーマン』。

"ヒーロー"とは何か? の再定義がテーマの一つ。

蜘蛛の力を得たから人生が変わったのではなく、"スパイダーマン"というヒーローになったがゆえに人生が変わるのがピーター・パーカーであると再認識。

市民とスパイダーマンとの関係(特に子供との絡みが多い)が多く描かれていて、彼がヒーローとしてしてきた結果が終盤描写される。列車のシーンはまさに名シーン。
というか、今作は画になるシーンが本当に多い。名シーン多くない? 常にハイライトじゃん。

映像でいうと、CGの部分の違和感が解消されていた。じっくり観るとあるんだろうけど、それをカメラワークや編集でうまいこと隠してる。映像のパワーアップ。

最初は地獄のような対人関係から始まり、どんどんとピーターが精神的に追い詰められていく。追い詰められ方、冴えない青年の演出が非常に暗くてねちっこい。前作よりもキツイ。
だからこそ、ピーターが真のヒーローとして立ち上がる流れに、カタルシスを感じて最高だった。
シナリオも前作よりパワーアップしている。

あと、ヴィランが基本的にピーターと鏡写しのような存在になっているのは引き続き。
今作はドクターオクトパスことオットー・オクタビアス。知性や、科学に対する期待がまったく同じで、なおかつ科学で身体が変異した存在。"ヒーロー"か"怪物"と呼ばれるかは行動で決まる。

そういえば、MJがなぜ嫌われているのか。この理由はちょっとした私見だけど、一人だけ生々しい人間像だからなのではないだろうか?
"性格が悪い"があんまりしっくり来なくて、行動を見て行ったら利己的な決断をしようとしているイメージがある。こっちの方が得じゃん、みたいな。でもそれを全部取っ払ってピーターとくっつく彼女の決断は結構好き。
悪い性格というよりも、根が善人なキャラが周りに多すぎるのかも……?

個人的に物足りなかったのは、

・若干ダイジェスト感がある
・ピーターの頭の良さが戦闘に活かされていない
・スパイダーマン復活までの経緯をもう少し見たかった
・ドクオックとの最終決戦の盛り上がりが足りなかった

これらがあるが、そもそも2時間であの分量と濃さを凝縮しているのがやはりすごいし、その上でまだ観たいシーンがあるのは本当に面白い映画である証拠だと思う。

前作よりも様々な部分がパワーアップした、"ヒーロー"映画の傑作。
ちなみに、今回はメイおばさんとJJJがいい味出してる。

NandS