「それぞれのシーンに対してしっかりと意味を持った圧倒的な映像美」紅夢 wutangさんの映画レビュー(感想・評価)
それぞれのシーンに対してしっかりと意味を持った圧倒的な映像美
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20年ぶり2度目、映画館では初の鑑賞。
かつて高評価をつけた映画を今見返すと、個人的には新鮮さが失われた分点数は低くなるのだが、この作品は大幅に点数を上げもはや100点満点の映画だった。
シナリオの良さ、それに完璧にはまった配役、各俳優の演技力、それぞれのシーンに対してしっかりと意味を持った圧倒的な映像美。
チャンイーモウの最高傑作だと思う。
20年前に鑑賞した際には豹変していく女同士の骨肉の争いのような印象を受けていたが、歳をとってから見ると彼女たちの姿は女性として自然に捉えられ、感情移入ができるキャラクター設定に感じた。一夫多妻という制度を今さら批判するものでもなければ、シナリオのエンターテイメント性のために造形された極端なキャラクターでもなく、人間または女性のある種の業のようなものを静かに訴えかけられた気がする。
そして何より、映像と演技のクオリティである。
冒頭の長回しにおけるコンリーの涙が落ちるタイミング、ランタンを上げた時に顎までかかった涙の光だけが見える画作り、冬景色になった邸宅の色合い、エンディングの音楽、どこを切り取っても嘘みたいなクオリティだった。
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