「至高のサム・ライミ版三部作のスタート。」スパイダーマン image_taroさんの映画レビュー(感想・評価)
至高のサム・ライミ版三部作のスタート。
『スパイダーマン』の他のヒーローものとは異なる特異性は、どこまでも「青春ドラマ」であるところだ。だから、コスチュームを脱げば決してハンサムでもなく、どこにでもいるフツーの未熟な青年であり、彼が恋する相手も絶世の美女ではなく、どこにでもいるフツーの未熟な女の子という、そういう親近感の持てる基本設定がきちんとできていることが重要だ。
それに相応しいトビー・マグワイアとキルステン・ダンストという、ほどほどのルックスに抜群の演技力を伴う役者をキャスティングしたところに、この作品が成功した端緒が見て取れる。これを料理したのが、古臭いコミック的な表現を得意とするサム・ライミ監督(傑作ホラー『死霊のはらわた』、アメコミ『ダークマン』が象徴的)であることで、素朴かつ生々しい表現を実現している。
後々の『アメージング・スパイダーマン』シリーズや、MCU版は、決して悪くはないものの実に洗練されており、青春ドラマに必要な気恥ずかしさや甘酸っぱさの部分が随分と脱色されてしまって、あまりにもさっぱりしてしまった印象が否めない。ドラマ性という点では、どうやってもサム・ライミ版には敵わないと個人的には強く思う。
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