「この絵具とこの絵具を混ぜたらどんな色になるのだろう、とパレットでいろいろ試してみているかのような作品」スナッチ えすけんさんの映画レビュー(感想・評価)
この絵具とこの絵具を混ぜたらどんな色になるのだろう、とパレットでいろいろ試してみているかのような作品
フランキー率いる強盗団は、宝石商から86カラットのダイヤモンドを強奪する。それを知ったロシア人の武器商人ボリスは、フランキーからダイヤモンドを奪うべく画策。一方、非合法ボクシングを運営するターキッシュと相棒トミーは、ギャングのボスであるブリックトップのために八百長試合を仕組むが、試合前に放浪者とトラブルになり出場予定のボクサーが大怪我を負ってしまう。困り果てたターキッシュたちは、放浪者の男ミッキーを代わりに出場させるが……(映画.comより)
映画監督は、音と光を用いて映画という形式で、愛とか憎しみとか別れとか、ある主題を表現をする総合芸術家だが、その意味で監督のガイ・リッチーに本作で表現したい主題は特にない。例えば画家が、この絵具とこの絵具を混ぜたらどんな色になるのだろう、とパレットでいろいろ試してみているかのように、主題よりも、音と光という表現形式そのもののほうに興味がありそうである。
そうして出来上がった作品には、シニカルな笑いと独特のリズム感が宿る世界が描かれており、訛りと活舌の悪さで何を言っているか分からないパイキー(放浪者/差別的意図を含むスラング)や、ユダヤ人のふりをする宝石商、忌み嫌われるロシア人が登場する。
2001年の公開と、24年前の作品だが、映像のスタイリッシュさは色褪せるどころか、最新作と比べても遜色なく、30代のブラッド・ピットのギラつきやジェイソン・ステイサムの諦念はオーラも含めかっこいい。
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