劇場公開日 1968年

「国家を超越した存在“R”」絞死刑 たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5国家を超越した存在“R”

2023年6月10日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

しかし、大島渚(監督・脚本)が作り出す世界は、自分の常識のはるか彼方をいくので、初見時には驚くしかない。本作もそうだが、久しぶりに観ると「大島渚という映画作家は、いくつものテーマを盛り込んで映画づくりをする」のが伝わってくる。
本作の場合は、最初は「絞死刑するには心神喪失ではダメで…」などが頭に残ってしまったが、今回は「国家が人殺しを正当と認めているのは“死刑”と“戦争”である。そうした国家に抗議するには、国家を超越する思想の高みから論じる必要があるため、一度は死刑執行されたRという男が死にきれず『Rという身体を持っている人間だが、Rの思想は天に召された』という人間を超越した存在」を生み出した大島渚。
これは凄すぎる。

本作は、「小松川女子高校生殺人事件」という実際の事件を題材にしたそうだが、事件は1958年に起こったとのこと。(自分の生まれる前)
そして、この映画の冒頭では、「あなたは死刑場を見たことがあるか?」というテロップが出て、死刑制度問題や在日朝鮮人問題などを描いている。
そうした社会問題を描いていると思っていると、ブラックユーモアたっぷりの寸劇(のような場面)も描かれる。
ちょっと朝鮮人を小馬鹿にしたような表現が多々あるのは、この映画製作の時代によるものであろうか?

それにしても、大島渚監督は凄すぎる。

<映倫No.15220>

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たいちぃ