サイン : 映画評論・批評
2002年9月17日更新
2002年9月21日より日比谷スカラ座1ほか全国東宝洋画系にてロードショー
目くじら立てずに騙されてみたい
とうもろこし畑に巨大なミステリーサークルが出現! 以来、奇っ怪な事件、いわゆる超常現象が続発して……という、“コケオドシの天才”、M・ナイト・シャマラン節全開のスリラーだ。なんと、1000万ドル超(!)という値がついた話題の脚本は、アルフレッド・ヒッチコックの「鳥」とジョージ・A・ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」からプロットをいただいている(と監督は証言した)。つまりは、フィラデルフィア郊外の広大な農場にポツンと建った小さな家に住む主人公らが“何者か”(鳥かもしれないし、ゾンビかも)に襲われるのである。
メル・ギブソンとホアキン・フェニックスが兄弟役というのもミソだ。見た目もそっくりなら、これまでの映画のイメージを逆転させ、ギブソンが内向的な元神父の農夫、一方の弟役フェニックスがマッチョな元野球選手(最後、バットが小道具として効いてくる)で、笑いを一手に引き受けているのが面白い。
好きか嫌いかは、連続する超常現象がすんなり受け入れられるか、にかかっている。ヒッチコックが電線に止まる鳥たちを撮ったように、単にシャマランの好奇の対象であるB級精神あふれるモノを詰め込んだ話である。目くじら立てずに彼の話術に騙されてみたい。
(サトウムツオ)