シュレック2 : 映画評論・批評
2004年7月15日更新
2004年7月24日より日比谷スカラ座1ほか全国東宝系にてロードショー
緑色の怪物には緑色の怪物の幸福がある
巷にあふれる宣伝だけ見ていると、おとぎ話のキャラクターたちが登場するファミリー向けファンタジー・アニメのように見える本作。それはその通りなんだが、同時に○ィズニー的世界の欺瞞を暴く痛快さが喝采を浴びる作品でもある。製作総指揮はドリームワークスの3巨頭のひとり、ジェフリー・カッツェンバーグ。ディズニーをクビになった彼が、ディズニーの自主規制コードをすべて破ることを実践したのがこのシリーズなのだ。
その第1作「シュレック」ではきっちり「美女と野獣」の逆を描いて01年度アカデミー賞長編アニメ賞を獲得。本作はその路線をより押し進めて、冒頭から「リトル・マーメイド」を思い出させる赤い髪の人魚はフィオナ姫に投げ飛ばされてサメに喰われ、「ピーターパン」のティンカーベルふうの光る小妖精はビンに詰められてランプとして使われる。そんな類のギャグが満載なのに爽快なのは、やっぱり野獣が美男の王子になるのを幸せとする物語より、緑色の怪物には緑色の怪物の幸福があると宣言する物語のほうが、ウソくさくないからだろう。
ちなみに今回も映画のパロディが満載。「スパイダーマン」や「スター・ウォーズ エピソード2」も大笑いだ。
(平沢薫)