スクール・オブ・ロック : 映画評論・批評
2004年5月1日更新
2004年4月29日より日比谷映画ほか全国東宝洋画系にてロードショー
ジャック・ブラック先生、よくお判りです
世にロックな映画は数あれど、これほど「ロックそのもの」に直接アプローチした映画は稀だろう。本作はロックという“音楽ジャンル=生き方・思想”の中でも、最も骨太な部分に基づいて徹頭徹尾、形作られているのだから。それが内外問わず、「元ロックだったはず」の多くの観客を鼓舞し熱狂させているに違いない。眠っていた反骨の心をグッと掴みとる選曲、シチュエーションも要所要所でばっちりだ。「The Man(=権力)と闘っても必ず負ける」という負け犬的視点から終始描かれるのも(哀しいかな)共感を誘う。
ただ、コメディとしてはどうもツメの甘さが気になって仕方ない。ロクな防音もせずにアンプ使った練習を終日教室でやってたら、いくらなんでもすぐにバレるだろ。音を漏れなくさせる工夫だけでひとネタできそうなものなのに、そんな細部にゃまるで関心なさそうなのが、いかにも頭でっかちなリンクレイターらしいところである。終盤で用意された感涙モノのクライマックスに誤魔化されそうだが、その後のいささか教条主義的な結末で果たして「未来のロック」へ繋がるのかも疑問だ。
とまぁ何とケチつけようが本作はジャック・ブラックこそが命。結局は彼のひとり舞台なのだからファンとしてはすべて許せる。それに最後の疑問にも、彼自身が冷静に答えを出してくれているではないか。「ロックの本質は基本的に反体制・反抗であって、それを学校で教えるというのはロックの本質に反する」……よくお判りです。
(ミルクマン斉藤)