マトリックス レボリューションズ : 映画評論・批評
2003年11月5日更新
2003年11月5日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー
ウォシャウスキー兄弟のつけた“落とし前”は?
さまざまな謎をちりばめたまま終わった「リローデッド」を見て、多くの人がこう思ったはずだ。「レボリューションズ」で決着つけられるの?
結果から言うと、その不安(疑問)には応えてない部分もあるが、大方は大丈夫。最後を迎えてウォシャウスキー兄弟がテーマにしたかったこと、それだけはしっかり見えてきたのだ。
そのテーマとは三位一体。つまり彼らはここで、人類=善、マシン=悪、プログラム=善と悪というありがちな構図ではなく、もちろん彼らがバトルして人類が勝利を得るという、いかにもハリウッド的な結末でもなく、愛がすべてを救うという安直なものでもない。その三者が一体になることが重要であると解いているのだ。そして、そのためにはネオのような<選択>をする救世主が必要であり、彼を愛で支えるトリニティや、彼を育てるモーフィアスのような存在もまた不可欠だと言っているのである。
なぜネオが現実世界でもパワーを得たのか? なぜネオは6番目だったのか?等の疑問はまだ残る。だが、そういうことは枝葉末節。あるいは、我々の考えすぎなのかもしれない。ここはキチンと落とし前をつけ、人類に対する警告と皮肉、そして希望を持たせた結末に満足するとしよう。
(渡辺麻紀)