マトリックス リローデッド : 映画評論・批評
2003年6月3日更新
2003年6月7日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー
ウォシャウスキー兄弟は大きな賭けに出たのだ
やはり最初はアクションに期待した。だが、残念ながら期待外れ。物量はスゴいが、そのアクションに意味はない。まるでゲームのような感覚で、次々と繰り出されるだけだ。では、物語はどうか。こちらも謎をふるだけふって「つづく」とくる。
しかし、その提示された謎は極めておもしろい。それは暗号のような言葉であったり、あるいは見過ごしそうな人物であったり、ときに些細なエピソードだったりする。そう、全神経を集中させてスクリーンを凝視しなければ、気づくことさえなく「わからん」と言う言葉で終わりそうな存在なのだ。
だが、それはあまりにもったいない。判り過ぎるほど噛み砕いてくれる映画が多いなかで、この映画は謎を解く楽しみ、答えを探す喜び、考える刺激を与えてくれる。映画を見終わったら、一緒に見た友人と語りたくなる。そんな映画は実は珍しいのではないか。莫大な資金をかけたメジャー映画なら尚更である。つまり、ウォシャウスキー兄弟は第2作にして大きな賭けに出たのだ。
その謎はおそらく次の「レボリューションズ」で明らかになり、おそらく想像もつかない結末を迎えるのだろう。うーん、早く次が見たい!……と思いを馳せる自分をみると、どうやら兄弟の試みは成功したようだ。
(渡辺麻紀)