ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女 : 特集

2006年3月1日更新

ファンタジー映画が隆盛を極める昨今、「指輪物語」と並び称されるファンタジー小説の大御所「ナルニア国ものがたり」が、ついに映画化された。全7章からなる壮大な物語の幕開けを記念して、知っているとより楽しい7つのトリビアを紹介。知ってから観るか、観た後に知るか……楽しみ方はあなた次第。また、本作のプロモーションのために来日した、アンドリュー・アダムソン監督のインタビューもお届けする。(文・構成:編集部)

知らなくてもいいけど知っていても楽しい「ナルニア国」7つのトリビア

◆ナルニア国トリビア/第1章:C・S・ルイスとトールキン

ルーシーが最初に出会い、友達になるタムナスさん(右)
ルーシーが最初に出会い、友達になるタムナスさん(右)
そういえばどことなく 猫っぽい…?
そういえばどことなく 猫っぽい…?

「ナルニア国ものがたり」の作者C・S・ルイスと「指輪物語」の作者J・R・R・トールキンは親友で、トールキンはルイス主催の文学サークル、インクリングスに参加していたのは有名な話。だが、生涯ずっと親友だったわけではない。2人は1926年に出会い約20年の間、親友だったが、50年代には疎遠になった。その理由には諸説あり、トールキンがルイスの結婚相手ジョイ・グレシャムを気に入らなかった説、トールキンはルイスが自分の信仰について書いたり伝播したりするのを快く思わなかった説などがある。

◆ナルニア国トリビア/第2章:「永遠(とわ)の愛に生きて」

リチャード・アッテンボロー監督が、晩年のC・S・ルイスの恋と結婚を描いた映画。ルイスを演じるのは「ハンニバル」のアンソニー・ホプキンス。ルイスが恋に落ちたアメリカ人ジョイ・グレシャムを演じるのはデブラ・ウィンガー。実際のルイスがジョイと出会う前に同居していた女性のことは語られない、ジョイの連れ子は2人だったが1人になっているなど、実話とはことなるアレンジは多々あるが、実際のルイスの目にも映っていただろう英国の田園風景を画面で堪能できる。ジョイの息子が、ルイスの家の衣裳だんすを覗きたがるという「ナルニア国ものがたり」ファン泣かせのシーンも登場。

◆ナルニア国トリビア/第3章:義理の息子ダグラス

ルイスの妻ジョイには前夫との間に2人の息子がいたが、その弟の方、ダグラス・グレシャムがこの映画の製作に参加。ラジオの声で声の出演もはたしている。彼は母ジョイの死後もルイスとともに暮らして、ルイスの死を看取った。73年からはルイスの財産管理を任されて家族といっしょにルイスの生まれたアイルランドに移住し、C・S・ルイス・カンパニーを運営している。

◆ナルニア国トリビア/第4章:ファーザー・クリスマス

トールキンは「ナルニア国ものがたり」を批判したが、とくに「ライオンと魔女」に登場するファーザー・クリスマスを厳しく批判したという説がある。トールキンは、サンタクロースをキリストをかたどったライオンと同じ物語に登場さるべきではない、さらに魔女や妖精をひとつの物語に登場させるのは、無意味な混合だと批判したそう。トールキンは「指輪物語」で民話・伝説をひとつのものに再構築しようと目論んだが、「ナルニア国」は同じような民話や伝説から引用した要素を用いてはいるが、それらを混在させた、まったく異なる世界なのだ。

◆ナルニア国トリビア/第5章:タムナスさん

ルイスがこの物語を書き始めるにあたって、最初に抱いたイメージは「雪の中を荷物を傘を差して歩くフォーン(半山羊半人の牧羊神)」だった。このイメージが、本作で末っ子ルーシーと読者が初めて出会うナルニア国の住民=タムナスさんとして結実する。原作ファンのアンドリュー・アダムソン監督はこの逸話を知っていて、このシーンを重要だと考え、タムナスさん役のジェームズ・マカボイに、この場面の撮影が終わるまでは、ルーシー役のジョージー・ヘンリーと会っては行けないと厳命。この演出プランの効果か、ルーシーがタムナスさんに会ってびっくりしながら魅了される名場面が映像化された。

◆ナルニア国トリビア/第6章:ターキッシュ・デライト

次男エドマンドがナルニア国で白い魔女に会い「兄弟たちを連れてくればお前の好きなお菓子をあげる」と誘惑されるが、そのお菓子は「ターキッシュ・デライト」というお菓子。岩波少年文庫の瀬田貞二訳では、日本ではなじみのない菓子だからと「プリン」と翻訳されていたが、その正体は、トルコの伝統菓子。日本の和菓子「すあま」に似ている。映画にも登場する。

◆ナルニア国トリビア/第7章:アダムソン監督の猫好き

C・S・ルイス著 「ナルニア国ものがたり」 岩波少年文庫/714円
C・S・ルイス著 「ナルニア国ものがたり」 岩波少年文庫/714円

アンドリュー・アダムソン監督(インタビューはこちら)が最初に本作の監督を打診されたときは、「シュレック」シリーズを監督しなくてはならないので断ろうと考えたそうだ。が、子供の頃からの原作ファンなので断るのも無念で、話だけ聞こうと打ち合わせにいったところ、話しているうちに自分が子供の頃に読んだ物語をしっかり覚えていることが分かり、さらに頭の中に子供の頃に思い描いていたナルニア国が浮かんできて、監督しないではいられなくなったという。ちなみに彼は子供のころからの猫好きだが、この頃では、それは子供の頃に読んだナルニア国のライオン、アスランが好きだったからではないかと考えているそうだ。

インタビュー

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画評論

「ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女」の作品トップへ