ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女 : 映画評論・批評

2006年2月28日更新

2006年3月4日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー

その瞬間、記憶の中のナルニアが鮮やかに甦る

小学生の頃は「ナルニア国ものがたり」にどっぷりハマって、親戚の家に泊まるたび、洋服だんすの中に潜り込んだ。ご贔屓はエドマンドで、プリンごときに籠絡されるのが不思議でしかたなかったけれど(当時の僕はプリン嫌いだった)、この映画を見れば、甘美な誘惑の実体(ターキッシュ・デライト)は一目瞭然。ティルダ・スウィントンの白い魔女にも圧倒的な存在感がある。

もうひとつ素晴らしいのが、ポーリン・ベインズ描く原作の挿絵からそのまま抜け出したようなタムナスさんの造形。ジェームズ・マカボイ演じる彼が登場した瞬間、記憶の中のナルニアが鮮やかに甦る。その一点だけでも、映画版の存在価値は高い。

もっとも、映画独自の興奮があるかというと疑問。原作では3ページであっさり終わる決戦が派手なCGIで長々と描かれるが、どう見てもそれはあんまりナルニア的じゃないだろうとか、客観的に見ると「ライオンと魔女」ってすごくイヤな話だよねとか、アスランはいいけどその声はどうよとか、細かい不満は無数にある。比較されることを運命づけられた「ロード・オブ・ザ・リング」には及ぶべくもないが、しかしそこまで期待するのは高望みがすぎる。このレベルで「朝びらき丸」まで映画化してくれれば大満足です。

(大森望)

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