ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女 : インタビュー

2006年3月1日更新

世界が注目するこの超大作のメガホンを任されたのは、「シュレック」シリーズのメガヒットで一躍注目を浴びたアンドリュー・アダムソン監督。初の実写映画で、世界的名著の映画化ともなった本作について、語ってもらった。(聞き手:編集部)

アンドリュー・アダムソン監督インタビュー
「子供のときの驚きのようなものを大切にしたいと思ったんだ」

――初めての実写監督で人間の俳優を演出したりするうえで意識したことや苦労は?

8歳のころから「ナルニア」ファンという アンドリュー・アダムソン監督
8歳のころから「ナルニア」ファンという アンドリュー・アダムソン監督

「一番苦労したのは実は天候なんだ。天気はコントロールできないからね(笑)。4人の子供たちは経験がないがためにオープンでやりやすかったよ。それに子供たちは想像力もたくましく、動物たちと会話することになんら躊躇なく入れるという利点もあった。あとはスケールの巨大さには苦労したね。戦闘シーンで1000人ものスタッフを引き連れていくのは、まるで軍隊の指揮官になったみたいだった。そんなところで、また天気がうまく協力してくれないとかね」

――これまでさまざまな映画の視覚効果やアニメーションの監督をされていますが、その経験が生きたところは? また、VFXによって架空の動物を創造するうえで注意したことは?

「視覚効果やVFXといったものを、あまり意識しなくてすんだということだね。要は、それらのものはストーリーのために使うもので、それ自身にしか目がいかないということは避けたかった。あくまでストーリーをサポートするものとして使いたかったんだけど、その点はうまくいっていると思うよ。CGの動物も同様に、CGであることを意識されたら困るわけで、人間のように、一キャラクターとしてみてもらえると嬉しい。キャラクターとして信じられるものにするというところが、苦労したところだね」

――リーアム・ニーソン(アスランの声)やティルダ・スウィントンというベテラン俳優の配役の決め手は?

「ティルダが演じた白い魔女は、白雪姫のいじわるな魔女のような典型的な悪女と違うものがほしかった。ティルダは『オルランド』を見て思ったんだけど、知的で洗練された悪を演じてもらえるとわかっていたからなんだ。リーアムに関しては、ルックスというより声だね。声に響くものがあり、温かみがあり、好感がもてる。そして、深く敬意のある声で、怒ったときに少し畏れを抱かせる声だったからキャスティングしたんだ」

――「ロード・オブ・ザ・リング」や「ハリー・ポッター」と比較されると思いますが、その点は?

「比較されるのはやむをえないと思う。『ハリポタ』は様式化された世界で、かなり普通ではありえない状況もあるよね。彼のおじさんやおばさんは、かなり漫画的に描かれているし。また、『ロード・オブ・ザ・リング』は完全なファンタジーの世界だけど、『ナルニア』はリアルな子供たちで、第2次世界大戦というリアルな背景があり、とても共感を持てる状況でファンタジーの世界に入っていくから、ストーリーに入りやすいと思うよ」

――もともと原作のファンとして接するのと、監督として深く関わったあとで思い入れは違うでしょうか? また、映像化にあたり最も大事にしたところは?

「今回は、自分が今読んで感じたものというよりは、子供のときに読んだ印象や思い出を映画化したかったんだ。例えば戦闘シーンは原作では1ページ半しかないけど、自分が子供の頃は、そのシーンがすごくふくらんでいて、いろんな神話的なクリーチャーが戦うという壮大な場面だったと記憶してるんだ。今回はそうした記憶にインスピレーションを受けて作け、映画になった感じだよ。映像化にあたっては、人は大人になるにつれてシニカルになったり、想像力を失ってしまうけれど、そうした子供のときの驚きのようなものを大切にしたいと思ったんだ」

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