NANA : 映画評論・批評
2005年8月30日更新
2005年9月3日より有楽座ほか全国東宝洋画系にてロードショー
バンドメンバーにはリアルさを求めなくていい?
分かり切っていることだが、原作モノの映画化は難しい。キャラクターがビジュアル化されているコミックなら尚更だ。中島美嘉と宮崎あおい演じる2人のナナは、原作から抜け出てきたかのようにファッションから細かい仕草までソックリ。ストーリーも、原作の名シーンをそつなく再現しながら進み、大きくファンを裏切ることはないだろう。が、どうも物真似ショーを見せられているようで物足りないのだ。
その象徴的なのがライブシーン。今回の映画化する意義は、パンクバンドを巡る話でありながらコミックでは不可能な音楽シーンを聞かせ、魅せることにある。だからこそ、ボーカリストとして成功することを夢見る大崎ナナ役に、歌手の中島を起用したのだろう。では彼女のバックを務めるバンドメンバーにリアルさを求めなくていいのか? 少なくともレンは“カリスマ”が付くギタリストだというのに。
ちなみに原作は、今後、ナナが所属するバンド「ブラスト」とレン所属の「トラネス」を巡る不思議な因縁がさらに加速していく。「NANA2」はあるのか? そこまでを考えてのキャスティングなのか? コミックの新刊13巻を手に取りながら、映画版の今後の展開が気になる今日この頃である。
(中山治美)