「ここにある一つの命」ナイロビの蜂 ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
ここにある一つの命
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今後更に伸びる市場の一つの製薬会社が、国家ぐるみでアフリカの人々をモルモットにしているという物語。現実にありそうな恐ろしい話。いや、今やアフリカだけではなく、世界中で新薬の治験を内密に行なっているのかもしれない。
ラブストーリー仕立てになっていますが、作品の肝は、組織と個人の関係性にあると思いました。
組織に属するということは、考え方の根本が組織の理屈になります。外交官のジャスティンは物語の序盤、組織の理屈で物事を判断していました。例えば、テッサが提案した、1人の子供を遠い村まで車で送ることを断ります。1人の子供を助けても意味がないと。
しかし後半、組織から離れひとりの人間になった時に、「今ここにある一つの命」を救いたいと行動を起こします。ジャスティンはテッサの行動をこの時に初めて理解出来、そして「理屈」が変わったのです。青くさいかもしれませんが、1人の人間によって、1人の人間が変われたのです。
「アフリカには殺人事件はない、痛ましい死があるだけだ。」
一つの、いや多くの命を踏み台にしているからこそ、存続している組織。多国籍企業と先進諸国。個人の「理屈」が変われば、存続ができなくなるかもしれない、そう思いました。
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