ミスティック・リバーのレビュー・感想・評価
全63件中、1~20件目を表示
全ての謎と罪を川が呑み込んでいく…
今から20年の前に、ベストセラー小説を名優クイント・イーストウッドがメガホンを撮り、映画化したミステリ―・サスペンスの名作。少年時代にある事件に巻き込まれた幼馴染の3人の男達。その男達の運命が、25年後に起きた少女殺人事件によって再び交錯し、翻弄されていく物語。巧みなミスリードによって、最後まで飽きさせない展開は、流石にイーストウッドの作品と言える。
そして、本作の面白さと価値は、やはり名優たちの共演にもある。ジミー、ショーン、デイブの3人の幼馴染には、ショーン・ペン、ケビン・ベーコン、そしてティム・ロビンソンという名優達が、それぞれに異なった立ち位置で、個性ある役柄を凄味のある演技でみせている。特に、ショーン・ペンは娘を殺された父のジミーを、鬼気迫る演技でアカデミー主演男優賞にも輝き、ティム・ロビンソンも少年時代のトラウマに囚われた哀れな男・デイブを演じ、助演男優賞を受賞している。それだけでも本作の高い評価が垣間見れる。
また、ショーンの先輩刑事には、こうしたサスペンスでは名脇役を務めるローレンス・フィッシュバーンが、堅物な刑事役を演じ、デイブの妻には、こちらもミステリ―には欠かせないマーシャ・ゲイ・ハーゲンが演じている。そんな豪華な顔ぶれが、それぞれに個性が光る演技で、ミステリ―の世界観を高めている。。
少年時代、幼馴染の3人が遊んでいる所に、警察を名乗る見知らぬ男が現れ、その内の1人のデイブが連れ去られ、誘拐監禁される事件が起きる。何とか逃げ出したデイブだったが、その事件を契機に、3人の中は疎遠となり、25年の年月が経過する。そして再び事件は起こる。ジミーの娘・ケイティが惨殺死体で発見された。警官になったショーンは、先輩刑事と共に事件の捜査に関わる中で、犯人としてデイブへの容疑が高まっていく。三人の幼馴染が、被害者の遺族・刑事、容疑者となって、それぞれの思いや恨みが複雑に絡み合って物語は展開していく。
そして、最後に真実にたどり着いた時、それはあまりにもイヤミスな結末を迎えることになる。あの2時間の差が、交互に映し出されるシーンは、何とも言えない悲哀と愚かさを感じた。エンドロール前のパレードのシーンで、タイトルの『ミスティック・リバー』の本当の意味も。複雑な思い共にスッと落ちてくる。全ての謎と罪は、大河の中へと呑み込まれていったのだった。
男の世界
少年の頃のトラウマを抱えた彼の言動は、妻から見てもおかしかった。
自分の言動を本人すら理解できていなかったから、妻にも説明出来なかった。
娘を殺害され、犯人逮捕を待つよりも、自分で復讐する彼は、『アイ・アム・サム』で知的障害者を演じたショーン・ペン。今作のキャラクターは、ちょい悪オヤジで格好良い。
警察になった彼は、慎重に犯人を見つけようとする。友人同士の間にあった何かを深堀りしないところが今作の良いポイント。
3人それぞれの妻も、つい比較して観てしまう。
後味の悪さが好みの分かれそうな映画
少年時代の旧友である3人を中心に、ほとんどの登場人物が地元の人間という、狭い世界でストーリーが展開していく。登場人物は被害者の父親の友人であったり、かつての共犯者の息子であったりと、顔見知りばかり。そのため互いの人となりを知っている。だからこそ刑事も彼らに疑いの目を向けやすい。そして視聴者は登場人物の人間関係を知った上で、誰が真犯人なのか、先の展開が気になる構成になっているのが秀逸。
しかし真相は意外とあっけなく、後味の悪さが残るのが、好みの分かれそうな映画。
キャスト3人が素晴らしい
事前情報全くなしで観始めたら、ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコン、ローレンス・フィッシュバーンまで何と豪華な!と思ったら監督がクリント・イーストウッド、とっても贅沢な作品でした
それだけあって、最初からラストまで全然中だるみもなく、クライマックスは緊張感がいっぱいでした
ストーリーは流れが悪い方にしかいかず、ハッピーな人が誰もいないというあのラストは後味が悪すぎました
全てがハッピーエンドじゃなくても、いつも救いのあるイーストウッド作品が今作では全くの救いなし
でもそれぞれの俳優さん達の演技が素晴らしかったので、あんな後味の悪いラストでも観て良かったと思えました
【”愛する娘を殺された犯人を見つけるの為には、何でもする!”幼馴染み3人の歯車を狂わせる展開に魅入られる作品。今作は、クリント・イーストウッドが描く重厚なミステリードラマである。】
■ボストンで育った幼馴染みのジミー(ショーン・ペン)、デイブ(ティム・ロビンス)、ショーン(ケヴィン・ベーコン)は、デイブが誘拐・監禁された事件を境に疎遠となる。
それから25年、ジミーの娘が死体で発見され、刑事となったショーンが捜査を担当。ジミーが激しい怒りに駆られる中、捜査線上にデイブが浮上する。
◆感想
・痛切なる物語である。
・幼少期に誘拐されたデイブ(ティム・ロビンス)が、受けたPDSDが惹き起こした事件。
・ジミーにとっては親友だった男が、被疑者であり、操作する男ショーンも幼き時からの友人である。
<観ていて、非常にキツイ作品であるが、クイント・イーストウッド監督のメッセージは強く伝わって来る作品である>
イーストウッド監督独特の重厚感あふれるサスペンス
クリント・イーストウッド監督独特の暗さと重さ溢れる作品。アカデミー賞主演男優賞(ショーン・ペン)、助演男優賞(ティム・ロビンス)を受賞。
ずっと前にたぶん1回観たけどあまり覚えていなかったので再度鑑賞。この物語の展開は、なんとなく「プリズナーズ」を思い出させるし、ジミーとその妻は、「ハウス・オブ・カード」のフランクとクレアを思い出させる。なんか、どっかで見たような…と思いながら見る場面が多かったかな。
でも最後のどんでん返しは、予想できなかった(見るの2回目なのに完全に忘れていた)。一体誰が犯人なのか、登場人物みんなが怪しく思えてくる、このハラハラドキドキ感。
子供のころのトラウマを背負って生きるデイヴの影や混乱を見事に表現しているティム・ロビンスの演技が光っていた。
重厚なサスペンスが観たいときにおすすめの映画。
ルヘインの原作をヘルゲランドが脚色
劇場公開時鑑賞、原作既読。
少年時代と今、刑事、容疑者、被害者の父という立場に別れた3人の描き方、真相の見せ方、対照的な容疑者家族と被害者家族、メインの事件に隠されていたことなど中々ポイントも多くて、映画化を知った時はまとめるの大変じゃないかと思った。それほど長いわけではないのに、あのずっしりとした読後感を映画で再現…はまず無理だから少しでも近づけるのか、と。
再度観てみたが、デイブだけ書きかけとか、過去をなぞるように車に乗るデイブとか、見上げる2人と下されるブラインドのシーンとか、旨味滲み出てる。ああ、好きー。そしてストーリーを混乱させることなく整理しつつ見せていく、脚本の手際が素晴らしい。アレかね、高いハードルであるほど素晴らしい結果出しちゃうタイプなのかね、ヘルゲランド先生は。
3人の好演に目が行きがちだが、対照的な行動にでるマーシャ・ゲイ・ハーデンとローラ・リニーも素晴らしかった。奥さん役より女房感あるローレンス・フィッシュバーンも。
もしもあの車に乗ったのがデイブ(だけ)じゃなかったら。
劇中何度か出てくるフレーズは、無意味な問いかけだろうか。
ショーンは捜査を続けると思う。そしていつか真相が明らかにされてほしい。そう願わずにはいられなかった。
それぞれの人生が最後まで噛み合わない重い内容。映像のせいか、重い内...
それぞれの人生が最後まで噛み合わない重い内容。映像のせいか、重い内容でも重すぎないように観れる。
ラストは曖昧で微妙なまま終わってしまった。考えさせるためか、演出か、そうとはいえモヤモヤが残りました。
松本清張風社会派ミステリー
それぞれの過去を持つ三人の幼なじみが、家族や周囲の人との様々の関係に影響を受けながら事件に巻き込まれてゆく。ほとんど松本清張の世界です。
イースト選手は、こういう少し時代遅れの価値観を持った庶民たちが図らずも事件や環境に振り回されて困惑するような脚本を淡々と重厚に撮るのが得意です。あまりユーモアはないところも清張風。
でも、あえて観客を困惑させたり、哲学チックな評価を求めるようなわざとらしい演出ではなく、わかり易く仕上げるところが大変好感持てます。
しかし、三人とも芸達者ですね。
アメリカにも『親の因果が子に報い』ということわざがあるのだろうか。イーストウッドは俳優としては如何にもアメリカ的なのに監督作品は非アメリカ的なものが多いのは興味深い。
①closed circle 内での愛憎劇・悲劇という点ではギリシャ神話を思わせるところはあるが、ミステリーということもあり私はどちらかというと横溝正史作品を思い浮かべてしまった。②イーストウッドの冷徹で抑えた演出は題材に良く合っている。この段階では物凄く上手いとは言えないまでも。③ショーン・ペンはある意味タイプキャストであり如何にもアカデミー賞好みの演技と言える。この映画で内面演技が最も難しい役はデイヴとシレスト。シレストにマーシャル・ゲイ・ハーディンを配したのは当然とも言える。演技陣で上手さが際立っているから。ティム・ロビンスもこの話の中で最も悲劇的な人物(勿論、殺されたケィティは別として)であるデイヴの造型に成功している。
残酷な、やり直すことのできないそれぞれの人生
3人の幼なじみが成長して、3組の夫婦が登場する。理不尽な運命の果てに殺される者、殺す者、それと知りながら見逃す者。ある者には残酷な、やり直すことのできないそれぞれの人生が描かれる。
ショーン・ペンが演じる荒っぽいジミー、ティム・ロビンスが演じる挙動不審なデイブ、どちらもはまっている。
何とも後味の悪い映画だった。他者の気持ちに寄り添うことなく、最後は...
何とも後味の悪い映画だった。他者の気持ちに寄り添うことなく、最後は自分さえよければそれでいいと言っているような身勝手さが肯定されるような終わり方だった。
三者三様の人生
若草物語のようなスタンドバイミーのような、それぞれの生活を描きつつ最後は収束する、まさに映画のお手本といった構成であった。
加えて演技、音楽、映像、演出どれを取っても超一級であり、改めてクリントイーストウッドの監督としての才能を感じざるを得ない。
娘が殺された父の気持ち、子供の頃の闇を抱えた生き辛さ、友を信じつつも真実を求める気持ち、そのどれもに感情移入し、没頭し、世界に入り込まされ、怒涛の2時間が過ぎてゆく。
見終わった時には誰の視点で何を感じたか、是非誰かと話し合うことをお勧めする。
永久保存版🙆♂️
クリント・イーストウッド監督の代表作の1つ。脚本も素晴らしいが、俳優陣の演技がとにかく素晴らしい。最初のシーンから完全に引き込まれた。バラバラの点が、徐々に繋がり一本の線となり、ラストに向かって急激に加速して行く感じが最高だ。重厚な感じも良い。間違いなく歴史的名作の1つに挙げられる作品だ。
難解でした…
ストーリーだけを追って評価出来るような単純な映画ではないような気がしました。多分、文化や宗教的な背景、アメリカに根付く社会的な問題…等々を理解していないと分からないことが多いんじゃないかな。
大きなクライマックスもなくセリフや俳優人の表情で暗喩的に語らせる。イーストウッドの作品、豪華俳優人。当時、映画館で観たときは、それだけで無条件にいい映画だなーなんて思っていたような気がするけど、いま改めて観ると、録画したものを何度も行ったりきたりしながら、理解しようとしたけど、まあ単純に語れる作品ではないですよ。
イーストウッドの作品はつい深読みしたくなる。
だけど、当時のチラシにあったもうひとつのスタンドバイミーはちょっと違う気がしますよ。
タイトルなし
デニス・ルへイン の同名小説を
クリント・イーストウッド が映画化
.
1つの殺人事件を通して
四半世紀ぶりに再会した幼なじみの3人
消せない過去・嘘・疑い
やるせなさが残る結末ですが
何度でも観てしまいます
.
.
アカデミー賞ノミネート作品
ショーン・ペン 主演男優賞受賞
ティム・ロビンス 助演男優賞受賞
全63件中、1~20件目を表示