ミスティック・リバーのレビュー・感想・評価
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救いのない話しで現実的だった。 終盤ジミー手下のバルとニックが大人...
救いのない話しで現実的だった。
終盤ジミー手下のバルとニックが大人デイヴに酒を誘う場面。車に乗り込み助手席の男が振り返るのは冒頭シーンの子供デイヴが車に乗り込み助手席の男が振り返るシーンと被ってる。
これは死んだな、とすぐ思った。
妻役のマーシャゲイハーディンの疑惑・怯え・嘘・後悔、ブレンダン役のトムグイリーの怒り・暴力の演技がリアルだった。
この腐った世界を告発する残酷な映画
クリントイーストウッドはグラントリノがまったく自分に合わず、苦手で食わず嫌いをしていた監督。
彼は愛国者でありリベラルな思想の持ち主との評判である。
映画をみるものとしても避けては通れない監督でもあり、見る必要があった。
そしてミスティックリバーである。
評判は良いが前情報はトレーラーのみで挑んだ。キャッチコピーは大人のスタンドバイミー。
さて、確かにいままで見たこともない映画を見せてくれるがなんともどういった感想を抱くのが正解なのか、非常に悩む映画体験となった。
これが自由の国、民主主義の国、キリスト教の国、銃の国、白人の国、犯罪大国アメリカ。
親友の3人組のうち偶然に1人が不幸にも性犯罪の犠牲者となり、他の2人も簡単に割り切れるものでもなく、それぞれ深いトラウマを背負うことになる。
事件をきっかけに3人の人生はもう交わることなく、トラウマを乗り越える機会を失った。
事件はそれぞれの生き方へ影響し、犠牲者は魂のないゾンビ、1人は犯罪の世界で生き、1人は町を離れ警察官となった。
過去の友人の肉親の死は、内在していた相互の感情を強く揺さぶりトラウマを再度眼前に呼び覚ます。
「もし自分が犠牲者だったなら」「もし自分でないものが犠牲者だったなら」、言いようのない感情が親友であったはずの友人への疑心暗鬼となる。
それぞれの生き方が不幸にも事件をきっかけに折り重なり、癒せなかったトラウマを強く呼び覚まし、過去の犠牲者の友人による殺害で幕を閉じる。
逃げられない「もし自分が犠牲者だったなら」「なぜ親友が犠牲者であったのか」という自責の混じった強迫的反芻により、人生を生きることができない友人2人の、河の底に流れていた「もし犠牲となった友人が死んでいたら」という悪魔的妄想がついに表出し、ある意味2人の共犯関係によって殺害されてしまう。友人の1人、しかも事件の被害者は殺そうとしている友人の前で、最後に「青春をみたから」と言った。それは残されることになる2人にも共通の妄想であったことだろう。
友人がさらわれた通りで残った2人が清々しい表情をして人生を歩み始める描写は、3人の救いようのない無意識なレベルまで到達する深く根ざした心的トラウマが、犠牲者が「最初からいなかったことにした」ことでしか癒されないものであったのだろう。
それぞれの妻の役割と男の関係も残酷である。
犠牲者は復讐の悪魔となり、妻に裏切られ悪魔に売られ、殺害者は悪魔である妻に許される。
警察官の妻ははたして悪魔かマリアか。
警察官は自らの生き方を選び「共犯者」を捕まえるのか。それとも悪魔の道を行くのか。自ら妻に謝った意味、口を聞かなかった妻が戻った意味は果たして。
この複雑な世界において犯罪者は犠牲者であり犠牲者は犯罪者である。
人が人を裁くとは本質的に悪魔的行為であるのか。
ただ遊んでいただけの子供たちの人生を、犯罪しかもそれが教会によると作中示唆させるほどの残酷さにより、修正不可能なまでに破壊させた、なんとも言い表せない社会の不条理、やるせなさ、切なさ、腐った世界。その子供たちは大人になったら悪魔であった。
最後のシーンでは警察官の生まれたばかりの子供だけが白く輝いていて希望を示唆する。
なんとも残酷な設定でこの腐った世界に生きる大人たちへの告発に満ちた映画である。
自分には釈然としない内容
アメリカでは、各登場人物の行動に一定の理解が出来る人が多いのだろう。理解があれば悲劇として観られる。教訓にもなる。
しかし自分からみると、偏見の塊のような連中が馬鹿な行動を重ねて酷い結末に帰結しただけに見える。
演技力演出力の高さ
まず名優3人の凄まじい演技力には世界観にどっぷりと浸からせる力がある。
物語の骨格がはっきりとしていて、なんでこうなっちゃうんだろうと考えても、確かに自分がこの人物ならこの行動をとってしまうかもな。というように、ツッコミどころが無いとても緻密な映画。見応えあり。
三人の幼なじみと三組の夫婦の物語
見終わった後に残るこの圧倒的な重さ
良い映画を観た余韻がこのように重い映画は久しぶりだ
その重さは胸が張り裂けそうなくらいだ
自然と涙が一粒でた
三人の幼なじみ、25年の時の流れは三組の夫婦に変わる
一組は夫を理解出来ず信じず、夫は妻を頼ることをあきらめており互いに孤独
もう一組は、互いに弱った時には助けあい、致命的な間違いであっても動機が感情として納得できさえすればそれを許し肯定してあげられる本当の夫婦
最後の一組は妻が家出状態、意志疎通すらままならない
頼れる存在は妻ではなく仕事の相棒
結末だけでなく取り巻く人間関係の重さがそうさせるのだ
三組三様、誰しも自分のパートナーとの関係性を投影してそのシーンごとに彼らの痛みが共有されてしまう、本作の重さはその重さなのだ
出演者全員が素晴らしい名演で物凄い
その中でもショーンペンとティム・ロビンスの熱演は見物だ
演出もカメラが俯瞰して天から見下ろす視点が効果的に使われる
特にデイブが車で連れ去られる繰り返し は強烈な印象を残した
人生を半ばまで来て、パートナーと長く暮らしていてこそ本作の重さはより重くあなたの心に伝わるはずだ
一つひとつのことが
さすがクリント・イーストウッド。
観終わった後、しばらくは心が映画の中に引き込まれてしまう。
「あの時そうしていれば…」
「もし、〜していなかったら…」
一つひとつの選択が、運命の歯車を狂わしていく。狂わされていく。
子どもの頃は仲良く遊んでいた3人。ある出来事のせいでバラバラになり、何十年後かにはお互いが全く違う立場となって再会するなんて、誰が予想しただろうか。
さっきまで隣を歩いていたのに、気がつけば隣にはもう誰もいなくなっている。
人生なんて、一瞬にして何もかもが変わってしまうのだと怖くなった。
運命はあまりにも非情で残酷である。
赦される罪
イーストウッドの演出が良いとはあまり思えないし正統派な感じに撮った全体的な話運びに単純とも取れる伏線の回収。
特に K・ベーコンの私情は物語と関係無いし寧ろ蛇足で演技もオーバーで存在感も薄く意味が無い!?
理不尽にも思える赦されてしまう罪を背負い家族も守り自分の手で崩壊させてしまった家族の面倒を陰ながらフォローして表の顔と裏の顔を持ちながらしか生きていけないジミー・マーカムの後姿に背中が渋い。
S・ペンの演技と役柄があってこその作品。
素晴らしく救いなく
10年前に観たはずなのに初見のように楽しめた。
ショーン・ペンの町のボスの大物感と足を洗ったと言いながら裏の世界に生きてる雰囲気と娘を失った喪失感と弱さの演技が素晴らしく、ティムロビンスの心にトラウマを抱え上手く生きられない感じが見てるだけで伝わって来て初めから辛かった。
ミステリーとしてもケビンベーコンの視点で順を追って答えに辿り着いて行くので分かりやすく引き込まれた。
何と言ってもクライマックスの演出がたまらない。
もう戻る事は出来ない追い詰められた雰囲気は胃がキリキリする思いだった。
過去からは逃れられないという事なのだろうか、人生の不条理さと罪を背負って生きて行く辛さは見終わっても胸が重くなる。
心が張り裂ける
ショーンペンが主演というのと内容が気になったので。
本当に救いが無くて、感情が溢れてただただ哀しい作品。
それぞれの人物の苦しみ藻掻くような姿に感情移入し、
何度も泣いてしまった。
人間臭くてリアルでした。
結局誰が悪いというのははっきりしないまま。
愛情とは素晴らしくもあり、怖くもある。
何度も観てみたい作品。
しかしショーンペン、渋くて格好良い。
現実
弱肉強食の世界の不条理さ。
日々、社会の底辺で生きている人間たちの哀しさ。
人は弱いものだということ。
けれど、僅かな絆の再生に希望を見出し、そしてまたそれすら掴めない弱者のどこまでいっても救いようのない弱さ。
希望に満ちた耳障りの良いものごとがもてはやされ、老年期を迎えるこの世界に、イーストウッド監督の投げかける問いは、どこまでも深く、人間というものを私たちに問いかけます。
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