ミスティック・リバーのレビュー・感想・評価
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【”愛する娘を殺された犯人を見つけるの為には、何でもする!”幼馴染み3人の歯車を狂わせる展開に魅入られる作品。今作は、クリント・イーストウッドが描く重厚なミステリードラマである。】
■ボストンで育った幼馴染みのジミー(ショーン・ペン)、デイブ(ティム・ロビンス)、ショーン(ケヴィン・ベーコン)は、デイブが誘拐・監禁された事件を境に疎遠となる。
それから25年、ジミーの娘が死体で発見され、刑事となったショーンが捜査を担当。ジミーが激しい怒りに駆られる中、捜査線上にデイブが浮上する。
◆感想
・痛切なる物語である。
・幼少期に誘拐されたデイブ(ティム・ロビンス)が、受けたPDSDが惹き起こした事件。
・ジミーにとっては親友だった男が、被疑者であり、操作する男ショーンも幼き時からの友人である。
<観ていて、非常にキツイ作品であるが、クイント・イーストウッド監督のメッセージは強く伝わって来る作品である>
アメリカ自体を描いているのかも
この映画は確か2度目だったかと思います。一度見では、なかなかわかりづらいと思いました。イーストウッドの他の映画や彼のこれまでの経験などから判断して、アメリカ社会を描いているのではないかと思いました。いくつかの感想、評論等を参考にさせていただきましたが、自分にはしっくり来ませんでした。
3人の主な登場人物が、階層化されていることからも、アメリカ社会の縮図を描いているのだと思います。ジミーは、政治、暴力、権力の象徴。ショーンは、アメリカの中産階級、知的な存在、一般市民。デイブは下層階級。ジミー、ショーンは、少年期、嘘をついたことで犯罪から逃れる。デイブは、本当のことを言って犯罪に巻き込まれる。現在のアメリカも、上層階級が、マスコミを使ったりして情報操作をして、自分たちの利益が最大になるようにコントロールしています。娘が殺され、ジミーは、あらゆる手を使って復讐をしようとする。それはアメリカの国家、政治の姿とも繋がるように見えます。9.11以降の動き然り。大量破壊兵器はなかったわけですし。愛するものが殺されたりすると、アメリカは国家として敵国にそれ以上の報復を行ってきました。ショーンは、ジミーの嘘に気づきながらも、自分たちの幸福を守るために、積極的に行動しない。つまり、国家の嘘に気づきながら、自分の利益を守るために行動しない。デイブは、下層階級で、病んでいるうえに自らも犯罪を犯し、更には殺されてしまう。(アメリカでは、貧しいが故に、犯罪に手を染めてしまう人が多い。と同時に戦争に行かされるのは、カラードや貧しい階層)後で、間違いだったとしても、上層の人間は、自らの罪を反省することなく、愛する者を守るために仕方なかったのだと正当化する。女性もそれを支持する。
ジミーは、二つの殺人を侵しながらも、罪を悔やみ謝ることなく、自ら十字架を背負って生きていこうとしている。ショーンは、妻からの無言電話に、「俺が悪かった、すまなかった」と自分の至らなさを認めることによってハッピーエンドに導かれていく。実に好対照だなと思った。
それぞれの人生、社会には、皆、見えない部分、秘密の部分がある。その見えない部分によって、現在が条件づけられていることはままある。それと向き合うことが大切なんだよと言っているように思えた。
※イーストウッドのインタビューでは、現代アメリカ的なシェークスピア劇だと言っているようだ。オセロに見られるように、登場人物の設定や一言一言が、悪い方に悪い方に転がっていく悲劇を描いたとも思える。
(グラントリノでは、自らの戦争体験を客観視し、現在のアメリカの姿に反旗を示し、自らがその盾となろうとしているように見えた。その流れから類推して、上記のような意味が隠されているのではないかと思った。)
※三度目に見て、ただのレイは、ジミーを売って、刑務所暮らしを逃れ、雲隠れしたものの、後でジミーに殺されていたこと。そして、そのレイの拳銃が、ジミーが嫌っていた口を聞かないレイの息子に使われて、娘を殺すことになったこと。デイブは、昔の誘拐、性的暴行のトラウマがあって、事件の晩、少年を犯していた暴漢を殴って死に至らせていたこと、その罪悪感から、おかしくなって、疑われてジミーの殺されるきっかけを作ったこと。 この二つの流れが通底に流れているのが、三つの殺人に繋がるっていうのが、改めて因果だなあと思った。
※三度目を見て、アメリカ社会に多い小児性愛者が出てくることに震撼した。デイブを連れ去った二人組は、逆さ十字のリングをしていた。小児性愛者の餌食にあって、その後、病んでしまって、人生を転落させてしまう人も多いことを知った。さり気なく登場させているところにも、客観的に扱おうという意図を感じた。ピザゲート、アドレナクロムなども、イーストウッドは、知っているのかもしれない。
イーストウッド監督独特の重厚感あふれるサスペンス
クリント・イーストウッド監督独特の暗さと重さ溢れる作品。アカデミー賞主演男優賞(ショーン・ペン)、助演男優賞(ティム・ロビンス)を受賞。
ずっと前にたぶん1回観たけどあまり覚えていなかったので再度鑑賞。この物語の展開は、なんとなく「プリズナーズ」を思い出させるし、ジミーとその妻は、「ハウス・オブ・カード」のフランクとクレアを思い出させる。なんか、どっかで見たような…と思いながら見る場面が多かったかな。
でも最後のどんでん返しは、予想できなかった(見るの2回目なのに完全に忘れていた)。一体誰が犯人なのか、登場人物みんなが怪しく思えてくる、このハラハラドキドキ感。
子供のころのトラウマを背負って生きるデイヴの影や混乱を見事に表現しているティム・ロビンスの演技が光っていた。
重厚なサスペンスが観たいときにおすすめの映画。
ルヘインの原作をヘルゲランドが脚色
劇場公開時鑑賞、原作既読。
少年時代と今、刑事、容疑者、被害者の父という立場に別れた3人の描き方、真相の見せ方、対照的な容疑者家族と被害者家族、メインの事件に隠されていたことなど中々ポイントも多くて、映画化を知った時はまとめるの大変じゃないかと思った。それほど長いわけではないのに、あのずっしりとした読後感を映画で再現…はまず無理だから少しでも近づけるのか、と。
再度観てみたが、デイブだけ書きかけとか、過去をなぞるように車に乗るデイブとか、見上げる2人と下されるブラインドのシーンとか、旨味滲み出てる。ああ、好きー。そしてストーリーを混乱させることなく整理しつつ見せていく、脚本の手際が素晴らしい。アレかね、高いハードルであるほど素晴らしい結果出しちゃうタイプなのかね、ヘルゲランド先生は。
3人の好演に目が行きがちだが、対照的な行動にでるマーシャ・ゲイ・ハーデンとローラ・リニーも素晴らしかった。奥さん役より女房感あるローレンス・フィッシュバーンも。
もしもあの車に乗ったのがデイブ(だけ)じゃなかったら。
劇中何度か出てくるフレーズは、無意味な問いかけだろうか。
ショーンは捜査を続けると思う。そしていつか真相が明らかにされてほしい。そう願わずにはいられなかった。
イーストウッド監督の描く『罪と罰』
2003年。クリント・イーストウッド監督作品。原作・デニス・ルヘイン。
ジミー(ショーン・ペン)ショーン(ケビン・ベーコン)
デイブ(ティム・ロビンス)の3人は幼なじみ。
その3人がデイブの誘拐事件から25年後、ある事件をキッカケに再会します。
ジミーの19歳の長女ケイティが殺されたのです。
ジミーは繁盛する食料品を経営する子煩悩で敬虔な父親です。
しかし犯罪歴があり2年間の服役経験がある男です。
背中に黒い十字架のタトゥーを背負っています。
娘のケイティの恋人ブランドンを毛嫌いしています。
恋人の父親ロイは遠い昔の不良仲間で、ロイは行方不明。
ケイティの殺人事件をキッカケにして、パンドラの箱は大きく開くことに・・・。
ジミーの娘が殺された、その夜デイブは血だらけで帰宅したのです。
そしてケイティの事件を担当するのは、殺人課の刑事になった幼なじみのショーン。
恋人ブランドンの父親ロイとジミーの深い関係。
ロイはジミーの犯罪を警察に密告した相手。
ジミーの2年間の服役後、ロイは忽然と姿を消しているのです。
ジミーがどんな男か、薄っすらと浮かんで来ます。
ジミーはモンスター。怪物なのです。
背中の十字架のタトゥーは凶々しい。
(とても神を信じる者の印には見えない)
そしてひとりの不幸な少年。
25年前に警官を装う男の車に乗せられて、4日間の虐待を受けたデイブ。
デイブはこの事件を忘れることも、乗り越えることも出来ずに大人になった。
見た目だけは大男だけれど中身は吸血鬼に怯える少年。
映画のラストに驚きます。
ノー天気にパレードの喧騒と、見物するジミーと妻。
デイブを探すデイブの妻。
車からジミーに指で射殺の真似をして笑うショーン。
『罪と罰』
まるで神になった気で、自ら邪魔者を裁く男ジミーの『罪と罰』
神に愛され過ぎて『罰+罰+罰』の幸薄き男デイブ。
世の中は絶対的に不公平だ。
罪なきか弱者に不平等な災厄が課せられる。
それが「原罪」なら、デイブは可哀想過ぎる。
デニス・レヘインの原作で、ジミーは雑貨店のオーナーではなく、
ギャング、として描かれている。
罪が償われないラストが重くて切ない。
2020年。天災が全世界を覆いました。
神が存在するなら、そしてこれが人類への「罪への罰」だとしたら、
その「罰」はあまりにも過酷で容赦ない。
松本清張風社会派ミステリー
アメリカにも『親の因果が子に報い』ということわざがあるのだろうか。イーストウッドは俳優としては如何にもアメリカ的なのに監督作品は非アメリカ的なものが多いのは興味深い。
①closed circle 内での愛憎劇・悲劇という点ではギリシャ神話を思わせるところはあるが、ミステリーということもあり私はどちらかというと横溝正史作品を思い浮かべてしまった。②イーストウッドの冷徹で抑えた演出は題材に良く合っている。この段階では物凄く上手いとは言えないまでも。③ショーン・ペンはある意味タイプキャストであり如何にもアカデミー賞好みの演技と言える。この映画で内面演技が最も難しい役はデイヴとシレスト。シレストにマーシャル・ゲイ・ハーディンを配したのは当然とも言える。演技陣で上手さが際立っているから。ティム・ロビンスもこの話の中で最も悲劇的な人物(勿論、殺されたケィティは別として)であるデイヴの造型に成功している。
残酷な、やり直すことのできないそれぞれの人生
なんだかなあ。
エンディングの描写から察すると、デイヴの遺体は発見されないようらしい。また、ショーンはジミーがデイヴを殺したと気づいているが、捜査や逮捕をするつもりはないらしい。さらに、ジミーは真相を知ってデイヴ殺害を後悔するが、自分の家族の為に自首はしないらしい。
まるで作者がジミーを守っているかのように感じて釈然としない。
河の底に流れる、静かなる鎮魂歌
静かにかつ無慈悲に語られる悲劇に、ただ息を呑むばかりでしたね。目障りなカット割りや興醒めなCGもない。ストーリーと役者の演技で真正面から描き切ったイーストウッド監督、神がかってますね。アカデミーこそ逃しましたが、監督作品としてはベストではないでしょうか。
出演陣の巧さは言うまでも無いですが、個人的にはケビンベーコンの抑えた演技が頭一つ出てた印象です。役柄もあるのでしょうが。作品としてはほぼ満点ですが、ラスト近くのショーンペンとローラリニーの会話がイマイチよく分からなかったのでマイナス。イーライウォラックの出演にはニヤリとしてしまいましたね。
「セブン」、「ミスト」の次くらいに・・・・・
「セブン」、「ミスト」の次くらいに後味の悪いラストだった(ただその2つは飛び抜けて後味が悪いので、後味の悪い映画ワースト3に入れることにはちょっと気が引けるが)。
サスペンスとしてはいい映画だが、クリント・イーストウッドらしい。つまり、後味が悪い。
デイブが、娘を殺したと勘違いしたジミーに殺されるのは、見ている観客の感情を踏みにじるようなものだ。
百歩譲ってデイブが殺されたとして、その後の子供たちのパレードはいただけない。
デイブを殺した翌日のジミーが道端に憔悴した様子でたたずんでいて、そこにショーンが現れ、娘を殺したのがレイの子供たち2人だったと告げる。そこでデイブを殺したのが間違いだと分かった複雑な表情のジミー。デイブに最後に会ったのはいつと聞かれたジミーは25年前と答える。そこで25年前にデイブが連れ去られたような道を1人とぼとぼと歩くジミーがいたが、そこで自殺するのであればまだ納得ができた結末だったが。
あの最後のパレードでは、ジミーとショーンは楽しそうに見ているが、デイブの奥さんだけは悲しそうだったシーンは何だったのか?結局、子供の頃から死ぬまで貧乏くじを引いたのはデイブだけだったと言いたいのか?
<その他気づいた点>
・デイブが変質者を殺した時間と、ケイティが殺された時間がほとんど同じと言うのはあまりにも偶然すぎないか?あえて、デイブがケイティを殺したように観客に思わせたかったためだろうか?
・ショーン・ペンの演技が素晴らしい。
・音楽は特に印象に残らなかった。
三者三様の人生
後悔先に立たず
誰かの選択肢が違っていたらこんな結末にはならなかったのかもね。
特にデイブの妻。夫に対する不信感をよりによってジミーに話すかよ。その後に何が起こるかなんて容易に想像できるだろうに。
それと警察。通報テープをもっと早く聞いてればな。
ショーンにデイブの事を聞かれて『25年前に……』と車を見送ってジミーが歩いて去っていくシーンだけど、あそこで終わっておけば良かったのに。
正直パレードのくだりはいらなかったと思う。っていうかジミーが妻の慰めで開き直ってる感じなのが腹立つ。
それとショーンの妻だけど、あの人必要だったかな?無言電話の意味もわからなかったし。謝罪するまで喋らないよってやつ?
ラストは三者三様の夫婦の姿を写したかったとかかな?
それとジミー妻の慰めの長台詞。イラク誤爆の正当化の意図があるとか聞いたけど、そういう情報があると見方がまた違ってくるよな。正直聞かなきゃ良かった。
永久保存版🙆♂️
タイトルが「?」
冒頭、11歳の幼なじみの少年3人がホッケーで遊んでいるのだが、ボールを下水口に落としてしまう。慌てて手を入れて取ろうとするんだけど、ダメー、危ない、ペニーワイズに噛みちぎられちゃうよー😱とまず思ってしまった😬映画違うし💦
3人で悪戯していた時にニセ警官に注意され、デイブだけが連れ去られ、暴行を受ける。何故自分だったのか、その過去を引きずり、35年後に同じ様に少年に悪戯をしている男に逆上して殺してしまう。偶然同じ日に幼なじみジミーの娘が殺される事件が起きて、、、。
デイブの奥さんは血を流して帰って来たベイブを疑い、ジミーに「あなたの娘を殺したのはデイブかも」と打ち明けるが、ジミーの過去の仕事や犯罪歴を知っているのに、そんなことを言ったら夫が危ないとは思わなかったのか?
予想通りにジミーはデイブを問い詰め、デイブが否定しても信じず、殺してしまう。
デイブはなんて気の毒なんだろう。11歳で辛い体験をして、トラウマを抱え続け、奥さんに信じてもらえず、友達にも信じてもらえず殺されて。
ジミーの奥さんの言葉も理解しかねる。おそらくデイブを殺したのではと知りながら、「あなたはこの街の王様。私や娘を愛していて優しい」優しい人間が人を殺すか?過去にも人を殺している。自分達に優しければ、他人に対してどうであろうと関係ないということか?うーん😔
最後が街のパレードで終わる。妙に平和な雰囲気で終わるのがしっくり来ない。何故ジミーが逮捕されない?デイブを殺したと、もう1人の幼なじみの刑事もわかっているのに。
所々で川が映る。デイブも殺されて川に捨てられるのだけどタイトルに使われる程、重要に思えなかった。原作ではもっと何か関わりがあるのかな?
デイブが殺されるまでは面白かったけど、ラストに向かって一気に下がった。個人的な感想ですが。
観た後で思い出した。映画館に観に行ったんだ、忘れていた😅
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