ミスティック・リバーのレビュー・感想・評価
全102件中、1~20件目を表示
最初から一貫して暗い。そして、極めて共和党的な映画。
気持ち良くなさすぎるけど、すごく完成度が高い作品。
世の中は皮肉でいっぱいさ
ラストがビミョー
ケビンベーコン、さっさとショーン・ペンを捕まえろ!人殺しなのに!奥さんもおかしい🤪何、正当化してるんだか 腹がたった
のんびりパレードなんかみとくな!
ティムロビンス子供の頃傷ついた上に誤解で殺されるなんてかわいそうすぎる。
何故、ずっと地元にいたんだろう
大人になって街を出て新天地でやり直したらよかったのに
マイケル(息子)が気掛かりです
価値観を揺さぶられる映画。人生は性格で変わる?
この映画を不条理と言う感想が多いが、デイブの描写を思い返すと不幸体質と言うか、トラブルを呼び込みやすい要素を抱えていたことに気付く。
一度観た記憶だけで書き出すが、
冒頭のホッケーシーン。
ゴーリー役のデイブはセーブしてボールを必要以上に強く打ち返してしまう。
するとボールは穴に吸い込まれ、二度と取り戻せなくなった。
リスクがあるのに加減が出来ないタイプ?
息子の野球の帰りのシーン。
どん底に落ち込んでいるのを無理矢理褒めて、全く気を持ち直していない息子の様子に気付いていないデイブ。
俺の息子だから凄いはずなんだと励ますつもりが逆にプレッシャーを与えてる様にも見える。人の感情を察知するのが得意ではなさそう。
家で吸血鬼映画を見て不穏なことを言うデイブ。妻はどこか居心地が悪くなっている。それに気をとめていなそうなデイブ。そこは怖くさせちゃった?ごめんとか言った方がいいのでは。完全1人で見てるわけじゃないのだから。
少年を襲っていた男を殺してしまうデイブ。ホッケーの時と言い、やり過ぎるところがここでもか。半殺しにした後通報するだけで良かったのに。自分を襲った犯人達も通報後にそれぞれ死亡していた。
結果論だが、大袈裟に言えばやり過ぎ癖があり、家族と愛のある意思の疎通が出来ず信頼関係を築けない人が、旧友との激しい誤解をとけるはずは無かったのかなと。
もし誘拐暴行事件が無ければ、デイブは成長して慎重になりコミュニケーションも上達したかもしれないけれど。
でもジミーもまた自分の断ち切れなかった怨恨のせいで娘のケイティを失った。
親父であるレイのした事とブレンダンは関係無いと交際を許してあげていれば。ケイティは駆け落ちを計画せず。あの日友達とお別れパーティーに出かけず、殺されなかったかもしれなかった。
妻と仲直り出来、唯一身内に不幸が起こらなかったのはショーンだった。
常に冷静さを失わず、別居時に浮気のチャンスがあっても律儀で妻を裏切らなかった。
忍耐強く情深いので、ジミーのデイブ殺しに気付いても告発せず、二人の友情は壊れないのだろう。
正義感が強い人ほど見るのがつらい映画だ。
3人の妻も、考えてみると夫と似た者同士だった。
何より愛情第一で決断するジミーの妻、別居していても堕胎せず子供を産んでいた忠実なショーンの妻、そして夫の疑惑を遺族であるジミーに打ち明けるというやり過ぎたデイブの妻。。。
でもラストのパレードで孤独に周りをキョロキョロするデイブの妻の姿は悲しく痛々しい。
どんなことがあっても、命だけは失ってしまったら終わり。
名作発見
運命に翻弄される者
大きな川が流れる街。
デイブ。11才の頃誘拐監禁された過去を持つ。
妻セレステと息子。
ジミーを怖がる?
性格上かふりかかる運命を仕方ないと受け入れがち?
事件の夜、酔って服を切られケガして帰って来て
男を殺したかもと言う。
新聞やTVでのニュースが無いので妻は不審に思う。
ジミー。前科者で愛娘ケイティーが殺された。
デイブが誘拐された時ショーンとその場にいた。
亡くなった前妻の忘れ形見で素直な娘だったので、
悔しくて警察より先に見つけ犯人を殺そうと考える。
妻アナベスの義理父に当たる、イライラが募っている。
ケイティーには父である自分しか血の繋がりはなくて、
ケイティーの身体にワンピースをかけてあげ嗚咽。
ケイティーはブレンダンと駆け落ち予定だったが、
執拗にブレンダンを嫌う父ジミー。
凶暴なサベッジ兄弟と義理兄弟
ショーン•デバイン。刑事、妻ローレンと別居中。
デイブが誘拐された時に居合わせる。
ジミー、ショーン、デイブの三人が子供の頃
よく遊んでいたストリート。
ここでデイブだけ連れ去られた。
事件が起こり、三者三様。
被害者の父、刑事、疑われた者。
思い込みが強くて間違いを犯す事もある、という戒め❓
デイブの妻セレステと
ジミーの妻アナベスが対照的‼️
セレステは、血をつけて帰ったこと、
デイブの誰か男を殺したかもしれないとの話、
男の殺人事件が報道されていない。
という点から、デイブが否定していたにもかかわらず、
ホテルで泊まり、ジミーに疑いの言葉を言ってしまう。
アナベスは、前科者の夫なら犯人の見当つけたなら、
どうするか大体予想しつつ、義理とはいえ愛娘の為ならありがたいことだと夫を讃える。
ジミーが娘の恋人ブレンダンを避けるのは、
理由があった。
犯人は意外な人物でありそれも偶発的。
セレステがアナベスのような考え方なら、
間違いは起こらなかったのか、と。
アナベスの考え方も相手がジミーだけに、
なんか怖い気もします。
さすがサベッジ兄弟と兄弟、ですよね。
パレードがあり、
その後、ジミーとショーンはどうするのか⁉️
結局3回観てしまったのですが、
ラストの意味深な様子。
キャスト三人のイメージで役に合っていたな、
と思いました。
ひどい
後味悪…。
最初はよかった。
少年3人が仲良くホッケー。
どんな人生が…?と。
そしてそこから車に乗った子、乗らなかった子達の人生が始まったわけか。
いや、車に乗ったデイブは確かに不幸だったと思うが、奥さんもいて、可愛い息子も。
そして子煩悩なパパだったのに。
過去のトラウマに苦しんでいたのかもしれないが、あの家族だけ一番貧乏くじ引かされた感じ。
最後のパレードでこれでもかと。
なぜショーンはジミーのことは見逃すのか?
少年達の犯行、というのもちょっと無理矢理感あり。
予想してなかった結末
真相は川の中に
中学生の頃視聴した懐かしの一本。この作品でイーストウッドを知った。ティムロビンス、ショーンペン、ケビンベーコンという名優たちが演じる。
悲しい事件が3人の運命を狂わせる。その悲しみの連鎖は大人になった後も続く。終始重い空気が漂い、嫌悪が増長していく。悲しみは人間の判断を狂わせる。その結果取り返しのつかない事態となる。まさに負のピタゴラスイッチやよね。幼い頃の事件さえなければ、デイブは殺人まで犯すことはなかったやろうな…
今観ると、同級生を殺したジミーを正当化する妻に恐ろしさを感じる。ジミーはあのまま何事もなかったように生きていくのか、それともどこかで良心の呵責に耐えきれなくなる時がくるのか…破滅を感じさせるラスト。
重くて良い、、
ずっと気になっていたが中々見る機会がなかったやつ。
結構重くて悲しい、、
娘を亡くす親の話とか、私は絶対泣いてしまう。
ショーン・ペンの演技が良い。こういう役ハマる。ショーン・ペンには毎回泣かされてるかも。
割と自業自得な話ではある。
ティム・ロビンスはずっと可哀想な人生。
なんで自分が殺したって言ってしまったのか、、。
ショーン・ペンからしても意味わからないだろうな。
警察役のケビン・ベーコン良かった。
ティム・ロビンスが死んだこと勘づいているけど、そういうことよりやっぱり自分(妻)のことが大事なのか。
2人にとってもいい思い出じゃ無かったから、死んでくれてちょっとは荷が降りた感じなのかなぁ。
大人になってからの3人の関係性もそこそこ良かった。
ショーン・ペンの奥さん強い、、!かっこいい。
殺された女の子の彼氏はとことん可哀想。まさか弟が、、。
私は結構好きな映画。見応えがあった。
試験勉強で1ヶ月以上映画見れなかったからか??
全ての謎と罪を川が呑み込んでいく…
今から20年の前に、ベストセラー小説を名優クイント・イーストウッドがメガホンを撮り、映画化したミステリ―・サスペンスの名作。少年時代にある事件に巻き込まれた幼馴染の3人の男達。その男達の運命が、25年後に起きた少女殺人事件によって再び交錯し、翻弄されていく物語。巧みなミスリードによって、最後まで飽きさせない展開は、流石にイーストウッドの作品と言える。
そして、本作の面白さと価値は、やはり名優たちの共演にもある。ジミー、ショーン、デイブの3人の幼馴染には、ショーン・ペン、ケビン・ベーコン、そしてティム・ロビンソンという名優達が、それぞれに異なった立ち位置で、個性ある役柄を凄味のある演技でみせている。特に、ショーン・ペンは娘を殺された父のジミーを、鬼気迫る演技でアカデミー主演男優賞にも輝き、ティム・ロビンソンも少年時代のトラウマに囚われた哀れな男・デイブを演じ、助演男優賞を受賞している。それだけでも本作の高い評価が垣間見れる。
また、ショーンの先輩刑事には、こうしたサスペンスでは名脇役を務めるローレンス・フィッシュバーンが、堅物な刑事役を演じ、デイブの妻には、こちらもミステリ―には欠かせないマーシャ・ゲイ・ハーゲンが演じている。そんな豪華な顔ぶれが、それぞれに個性が光る演技で、ミステリ―の世界観を高めている。。
少年時代、幼馴染の3人が遊んでいる所に、警察を名乗る見知らぬ男が現れ、その内の1人のデイブが連れ去られ、誘拐監禁される事件が起きる。何とか逃げ出したデイブだったが、その事件を契機に、3人の中は疎遠となり、25年の年月が経過する。そして再び事件は起こる。ジミーの娘・ケイティが惨殺死体で発見された。警官になったショーンは、先輩刑事と共に事件の捜査に関わる中で、犯人としてデイブへの容疑が高まっていく。三人の幼馴染が、被害者の遺族・刑事、容疑者となって、それぞれの思いや恨みが複雑に絡み合って物語は展開していく。
そして、最後に真実にたどり着いた時、それはあまりにもイヤミスな結末を迎えることになる。あの2時間の差が、交互に映し出されるシーンは、何とも言えない悲哀と愚かさを感じた。エンドロール前のパレードのシーンで、タイトルの『ミスティック・リバー』の本当の意味も。複雑な思い共にスッと落ちてくる。全ての謎と罪は、大河の中へと呑み込まれていったのだった。
男の世界
後味の悪さが好みの分かれそうな映画
見応えはあったが
終わってみれば変な映画だった。 うまくいかなかった脚本を無理やり名作劇場 風に仕上げたみたいな。終わってみれば ネタもまたありきたりだったし。実は町のボスでしたってか・・はぁ~とため息が出るな・・イーストウッドの中途半端な名作劇場はもう見んでいい。
キャスト3人が素晴らしい
その川は全てを隠してしまう。過去も、罪も、命でさえも…。 俳優陣のアンサンブルに震える極上のサスペンス✝️
ミスティック川沿いの近郊都市で起きた殺人事件を契機に、疎遠になっていた幼なじみ3人の運命が交わり合う様を描いたミステリー。
監督/製作/音楽は『ダーティーハリー』シリーズや『パーフェクト ワールド』の、巨匠クリント・イーストウッド。
雑貨屋の主人、ジミー・マーカムを演じるのは『ゲーム』『I am Sam アイ・アム・サム』の、名優ショーン・ペン。本作でオスカーを獲得!
心に傷を負う男、デイヴ・ボイルを演じるのは『トップガン』『ショーシャンクの空に』の、レジェンド俳優ティム・ロビンス。本作でオスカーを獲得!
殺人事件を捜査する刑事、ショーン・ディバインを演じるのは『アポロ13』『インビジブル』の、名優ケヴィン・ベーコン。
ショーンの相棒である刑事、ホワイティ・パワーズを演じるのは『地獄の黙示録』『マトリックス』シリーズの、名優ローレンス・フィッシュバーン。
👑受賞歴👑
第76回 アカデミー賞…主演男優賞/助演男優賞!✨
第61回 ゴールデングローブ賞…主演男優賞(ドラマ部門)/助演男優賞!✨
第9回 放送映画批評家協会賞…主演男優賞/助演男優賞!✨
第29回 セザール賞…外国映画賞!
第47回 ブルーリボン賞…外国映画賞!
うぉ…!お、面白えぇぇ…。
クリント・イーストウッドが名監督であることはもちろん知っていたが、ここまで凄い本格派ミステリーを撮ることが出来るのか…。
しかも本作では音楽まで手掛けてるって、この人マジでなんなんだ。映画の神に愛されすぎている。
これまでイーストウッド作品では『パーフェクト ワールド』(1993)が一番だと思っていたけど、この作品はそれを上回るかも。いやとにかく凄いもん見させていただきました👏
派手なCGやエフェクトは一切無し。ある殺人事件の顛末を被害者遺族、容疑者、刑事という三者三様の立場から描き出す。
シンプルな映画ではあるのだが、この3人が幼なじみであり、幼少期の痛ましい事件がその友情を引き裂いたということが冒頭で提示されているので、とにかく興味の持続力が落ちない。この物語がどういう方向へ向かうのか、そしてどう着地するのかが気になりすぎて一分一秒も退屈している暇が無かった。
陳腐な虚仮威しや中身のないアクションで茶を濁すことなく、一つ一つ丁寧に人物描写を積み上げていく。それが生み出す圧倒的なリアリティが強靭な骨子となってこの物語を支えている。
無骨であり流麗。寡黙にして雄弁。一で十を語るかのような豊かさを持つ、まさにこれこそジ・映画!こういうのが観たかった♪
本作の登場人物には赤い血が確かに通っている。人物描写の細やかさもさることながら、俳優陣の熱演が本作のリアリティを格段に高めていた。
ショーン・ペン/ティム・ロビンス/ケヴィン・ベーコンというハリウッドきっての演技派である大物3人がグイグイ物語を引っ張っていく。この3人は年齢が近く、技量も拮抗している。同レベルの俳優が集うことで生まれるグルーヴ感が映画に満ちており、各人の持つ本来の力が増幅されたかのような迫力が演技に込められていた。
押しの演技で攻めるショーンを引きの演技で受けるティム。オスカーを獲得したことからも分かる通り、やはりこの2人の演技は目立つ。特に今回のショーン・ペンは鬼気迫るというか、こんなに上手い役者だったのかと改めて思い知らされた。顔ではなく肩。肩の演技で自分がヤクザ者であることを観客に分からせる。こんな演技普通出来ん。凄すぎる…😨
ただ、個人的にMVPはケヴィン・ベーコンに与えたい。
今回のベーコンは他の2人と比べるとどうしても目立たないポジションの役を演じている。そのため印象には残りづらいものの、職人的とも言える堅実な演技で主軸となる2人をしっかりとサポートしていた。
ショーンをガンガン攻めるストライカー、ティムをガッシリとゴールを守るキーパーと例えるのなら、ベーコンは他の役者を活かすためにボールを送るパサーと言ったところだろうか。地味な役回りだが、彼がいたからこそこの映画の役者陣のアンサンブルは生み出されていたのだと思う。
早撮りで有名なイーストウッド。この映画でも1テイク主義は健在だったようで、それが生み出す緊張感もまた役者の力を120%引き出すことに一役買っていたのだろう。
面白いのは、演技上でのアクシデントをそのまま映画内に組み込んでしまっていること。
例えば安置所でのショーンとベーコンのやり取り。過去を掘り起こされたことに激昂したショーンがテーブルを叩き、その拍子にベーコンが手元のコーヒーをこぼしてしまうというシーンがあるがここは意図した演出ではない。ベーコンは本当にコーヒーをこぼしてしまったのである。しかし、このシーンがあることでベーコンの動揺が観客にも伝わってきたし、この2人の関係性のようなものも浮き彫りになっていたように思う。
ポーチでタバコを吸うティムとショーンのシーンにもアクシデントがある。
タバコに火をつけようとするティムは、背後からのショーンの声かけに驚きマッチで指先を焼いてしまう。ここも実はミス。火を確実につけるためマッチを3本同時に擦ったことで起こったアクシデントだったのだが、これもまたティムの常に何かに怯えているかのような性格を表わしているかのように観客の目には映る。
事程左様に、本作にはイーストウッドの1テイク主義が生んだ怪我の功名が散見される。この役者のナマの姿がキャラクターたちの血肉となっており、ひいてはそれがこの映画の持つ圧倒的な説得力に繋がっているのである。
物語自体はシンプルなのだが、この映画が一筋縄でいかないのは表層的ではない部分に数多くのテーマやメタファーが隠されているから。描かれたディテールをひとつひとつ考えていったら頭がパンクしそうになるくらい、数多くの含みがこの映画には仕込まれている。正直言って全然読み解くことができなかったので、プロの批評家が書いたこの映画のしっかりとした論文を読んでみたい。
ただ、この映画が宗教的な要素を多分に含んでいるというのはなんとなく分かる。
まず気になるのは冒頭、誘拐犯の1人の指に十字架の指輪が嵌っているということ。
カトリック司祭による児童への性的虐待をボストン・グローブ紙がすっぱ抜いたのが2002年。この一連の出来事は『スポットライト 世紀のスクープ』(2015)というタイトルで映画化もされている。
この記事が掲載されたのは2002年の初頭。本作の撮影時期が2002年の9〜11月、場所はボストンであったことを考えると、この誘拐犯はカトリック協会のメタファーとして描かれていると考えてまず間違いないだろう。
そしてこの映画のクライマックス。
服を脱いだジミーの背中に彫られていたのは大きな十字架。この映画は十字架で始まり十字架で終わるのである。
DVD特典のオーディオコメンタリーでも触れられていたが、ジミーと妻のやり取りはおそらく「マクベス」からのリファレンス。この場面は、物語の後に訪れるであろうジミーの破滅を予感させるものになっている。
中盤、デイヴは吸血鬼や狼男について言及する。「死して今とは全く違うものに生まれ変わりたい」と。
反キリスト的な存在を十字架を背負ったものが殺す、という描写には中世の魔女狩りや十字軍遠征を連想させられる。「汝殺す勿れ」と説いておきながら、その実態は血みどろの歴史に彩られているキリスト教。ジミーはそのメタファーであり、戒めを自ら破るこの宗教の行末には破滅しかない、ということを彼の存在は表しているのかも知れない。
内に秘められたテーマやメッセージだけでなく、構造的にもこの映画には目を見張るものがある。
十字架の件だけではなく、この映画では象徴的な前半の描写が後半でまたリフレインされる。
例えば、前半に描かれたショーンの娘の初聖体のシーンと対応するように、デイヴの息子が参加する街のパレードがエンディングに描かれているし、人を殺したと告白したデイヴが妻と接吻する場面と対応するように、デイヴ殺しを告白したショーンを妻が愛撫する場面が描かれている。
特に印象的なのは「車」の描き方。冒頭、少年時代のデイヴは刑事と偽る者の車に乗りんでしまい悲劇的な”死”を迎える訳だが、ショーンがデイヴをバーまで誘き出した手口はこの時の犯人のそれに酷似している。車に乗り込んでしまった時点で、デイヴの末路はもう決まってしまっていたのである。
このように、本作ではデイヴとショーンそれぞれに対応するようなシーンが存在しており、それが前半と後半に配置されている。このことが、物語に一冊のアルバムをパタンと畳んだ時のようなまとまりの良さ、収まりの良さを生み出している。
この構造的な美しさが、本作と凡百の映画を隔てる最大の違いなのではないだろうか。
これほど見事な映画には久しぶりに出会った!!
ミステリー映画という枠においては、オールタイムベスト級の一作になりました。観て良かった♪
嘘をついても真実を話しても殺される。後味は良くないが、人生とはそういう遣る方ないものなのかも知れませんねぇ🌀
全102件中、1~20件目を表示