劇場公開日 2004年1月10日

ミスティック・リバー : インタビュー

2004年1月9日更新

92年「許されざる者」でアカデミー作品賞・監督賞を受賞し、スターとしてだけでなく、映画作家としても世界の頂点に立ったクリント・イーストウッド。その唯一無二のカリスマが監督に専念して、「許されざる者」以来、再びアカデミー賞獲得を噂される最新作について語ってくれた。

クリント・イーストウッド監督インタビュー
「この作品には本当に優秀な俳優が必要だと思ったんだ」

――この映画をひと言で表現すると?

クリント・イーストウッド監督
クリント・イーストウッド監督

「アメリカの悲劇のようなものだけど、特定のジャンルではないので、何と呼んだらいいかわからない――まあ、アメリカン・シェイクスピアといったところかな。ストーリーが最優先だが、ある程度は様式化した手法を取るように努めている。というのは、この映画は25年前と今の間を行ったり来たりするからだ。25年前の出来事、関係者の現在の精神状態を形作った出来事が反映されているので、観客があまり先走らないように、途中で昔の出来事を思い出してもらう必要があるためだ」

――「ミスティック・リバー」のキャスティングはどのような経過をたどったのですか?

「私はこの素材は本当に素晴らしいと思った。原作は強力だし、ブライアン・ヘルゲランドの脚本もとても知的で強力だし。だから、これには本当に優秀な俳優が必要だと思った。私はショーン・ペンに脚本を送って、脚本に目を通して感想を聞かせてほしいと頼んだ。まもなく彼から電話があって、“こいつは最高だ”と感激していた。ケビン・ベーコンとティム・ロビンスは以前から私と一緒に仕事をしたいと言っていたので、収まるべき場所に落ち着いたというところだ。決まり方はそれぞれ異なっていた」

――3人の男優たちのこの映画に対するアプローチはそれぞれ異なります。監督がそれぞれの俳優に合わせるのですか? それとも、彼らが監督に合わせるのですか?

撮影中、ティム・ロビンス(右)と
撮影中、ティム・ロビンス(右)と

「いや、彼らはそれぞれ自分の個性を持ってはいるが、ストーリーに合わせている。3人の男優は、みな同じ分類に属する俳優だ。完ぺきに準備をして、いつでも本番に入れるし、自分が演じるキャラクターを生かす研究を怠らない。素晴らしいの一言に尽きる。もう1つの利点は彼らが前から顔見知りだったことだ。ショーンとケビンは25年前に舞台で共演した。ショーンとティムは『デッドマン・ウォーキング』の主演者と監督として一緒に仕事をしている」

「彼らは脚本を手にすると、3人で集まって脚本を繰り返し読み、徹底的に研究をした。私は準備に没頭していたので、彼らは自分たちだけで脚本の読み合わせや研究をした。多くの俳優はそんなことはしない。脚本に対して自分の役の部分、自分に関係がある部分しか気にしない。今回は彼ら3人にとって、仲間意識を育て、お互いに対する賞賛の気持ちを実証するよい機会となった。それに、彼らはローラ・リニーとマーシャ・ゲイ・ハーデンをアメリカ屈指の女優だと認めているし、2人の女優も彼らに対して同じ見方をしている。私も、彼らは今日のその年代の俳優の中で最高の部類に属すると思う。そして、2人の女優たちは、年齢には関係なく、アメリカの全女優中の最高に属すると思う」

インタビュー2 ~クリント・イーストウッド監督インタビュー(2)
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