「永遠にループし続ける幻想的なスリラー」マルホランド・ドライブ あふろざむらいさんの映画レビュー(感想・評価)
永遠にループし続ける幻想的なスリラー
マルホランドドライブは映画についての映画であり、死者の見る夢でもある。
女優になることを夢見てハリウッドにやってきたベティ(ナオミ・ワッツ)は記憶を失った黒髪の美女(ローラ・ハリング)に出会う。名前をたずねられて、たまたま目にはいった「ギルダ」(1946年)のポスターに書かれていたリタ・ヘイワースの名前から、「リタ」と名乗る。
ベティはリタの記憶を取り戻そうとする。
黒髪の美女の記憶を探るサスペンスは、映画の内幕ものでありつつ、映画そのものについての作品でもある。
冒頭の部分、スクリーンの前でジルバを踊る男女。それを憧れの眼差しで見るベティと老夫婦。映画館のスクリーンは、夢や希望の世界に通じる入り口なのだ。
この時点でベティはスクリーンに映し出される世界に魅了される我々と同じ場所にいる。
そしてロサンゼルスに到着したベティは飛行機内で仲良くなった老夫婦に別れを告げ、親戚のルースおばさんが所有するアパートメントに向かう。そこで管理人のココに迎えられて新生活をスタートする。
ここからベティは女優としての人生を歩みはじめる。
本作はリンチの40年代、50年代趣味が散りばめられている。冒頭のジルバは1940年代にアメリカで流行した。リタが名前を拝借する「ギルダ」は1946年だし、リンチがお気に入りの「サンセット大通り」(1950年)も本作に影響を与えているのがわかる。
また、ベティの挙動がいちいち芝居がかっているのも当時の映画を意識しているのだろう。
そう、本作の前半は映画にまつわる物語を、徹底的に映画らしく語っている。こちらは映画の光の部分と言ってもいいだろう。そして後半は一転して闇の部分になる。
リンチファンは本作が好きだと思うが、製作費23億円。興行収入31億円。
赤字ではないようだが大ヒットというほどでもなさそうだ。
彼が「今のハリウッドでは自分の作るような作品は売れない」と引退を決意したのもわかる。しかし、ファンの心理としては「ロニーロケット」は撮ってほしかった。
> 死者の見る夢でもある。
> 冒頭の部分、スクリーンの前でジルバを踊る男女。それを憧れの眼差しで見るベティと老夫婦。
そうだったのか。
恥ずかしながらわかりませんでした。
冒頭ダンスにベティと老夫婦が居たとは。。
感謝です。