「【”且つて、私は盲目であったが今は見える。ヨハネ第9条25節。”傲岸不遜な社会的に成功した経営者に仕掛けられたゲームの真意。今作は、脳内フル回転で見るサスペンススリラー映画である。】」ゲーム NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”且つて、私は盲目であったが今は見える。ヨハネ第9条25節。”傲岸不遜な社会的に成功した経営者に仕掛けられたゲームの真意。今作は、脳内フル回転で見るサスペンススリラー映画である。】
■投資銀行を経営する大富豪のニコラス(マイケル・ダグラス)は、48歳の誕生日に疎遠だった弟のコンラッド(ショーン・ペン)と再会する。
コンラッドからのプレゼントで、ニコラスはCRSという会社が提供するゲームに参加することになる。
だが、その時から彼の周りで不可解な出来事が続発する。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・デヴィッド・フィンチャー監督作品は今作と「ゾディアック」のみ未観賞であったので、観賞。
結論から言うと、サスペンスミステリーに兄弟愛を絡ませた逸品である。
・ニコラスを演じるマイケル・ダグラスは映画の最初から、笑顔が無く非人間的に金を右から左に動かすことで巨万の富を築いているが、彼の大邸宅にはお手伝いが一人だけ。
妻だったエリザべスとは、理由は明確に描かれないが離婚している。
・そんなニコラスが、寂しさも有ったのだろうが、コンラッドからの贈り物”CRSという会社が提供するゲーム”に徐々に嵌って行く。
■ニコラスは自身と同じ48歳で、父を飛び降り自殺で失っていた。その事がトラウマになっている。この伏線がラストに効いてくるのである。実に上手い作品構成である。
・ニコラスは、CRSに入会してから、”人生が一変するような素晴らしい体験が出来る!”という謳い文句とは裏腹に、生命を脅かされるような出来事に直面していく。
ー 謎の女クリスティーンにレストランで、ワインを掛けられたり、果ては乗ったタクシーのお運転手が途中で脱出し、自身は川の中に投げ出されるシーン。ー
・そして、クリスティーンに盛られた眠る薬で、目覚めたらメキシコの墓の中。
ー 分かりやすいが、このシーンでそれまでの傲岸不遜なニコラスは死に、人間性在る男に生き返る事を示している。-
■漸くアメリカに戻ったニコラスは、投資に失敗し、馘首した男に詫び、元妻エリザべスにも自身が如何に家庭を顧みなかった事を、素直に詫びるのである。
<ラストの展開は(私の予想通りであったが)、ニコラスは弟のコンラッドを銃で撃ち、父と同じようにビルから身を投じる。
だが、全ては兄を想う弟のコンラッドが、CRSに依頼した”ゲーム”の仕掛けであった事が分かるシーンは少し沁みる。
そして、人間性を取り戻したニコラスは父を亡くしたトラウマを克服し、自身を欺いて来たクリスティーンに本名(クレア)を聞き、”珈琲を飲まないか?”と語りかけるのである。
今作は、デヴィッド・フィンチャー監督ならではの、練りに練った構成と共に、見応えがあるサスペンスミステリー&ヒューマンドラマなのである。>