「前半は良かったが終盤の展開は微妙」ゲーム といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
前半は良かったが終盤の展開は微妙
デビッド・フィンチャー監督作品は何作か観ていますが、私個人の評価としては「めっちゃ面白い作品と微妙な作品が半々」って感じの映画監督です。『ソーシャル・ネットワーク』『ファイトクラブ』はめちゃくちゃ面白く感じましたが、『セブン』『ゴーンガール』は私には今一つでした。ただ、世間的な評価を見ると、私には今一つだった作品でもかなり高評価を受けている印象がありますので、単純に相性の問題なんですかね。
そんな私が本作を観た感想ですが、「前半はめちゃくちゃ面白かったのに終盤で一気に失速した」って感じですね。今まで私が鑑賞したデビッド・フィンチャー監督作品の中では一番つまらなかったかもしれない。
前半はハラハラドキドキの展開で目が離せないんですけど、後半に行くにつれてどんどん微妙になっていき、ラストのオチには思わず「は?」と言ってしまうほどに呆れました。なーにが「ラストの衝撃。緊張度120%」だよ。オチが下らな過ぎて確かに衝撃だったよ。監督の前作『セブン』のオチは胸糞悪くて嫌いだけど、納得できるラストでした。それに引き換え、本作はかなり強引にハッピーエンドに持って行った感じがあってただただ嫌いです。このオチが無ければ、私の評価は全く違ったものになっていたと思います。
・・・・・・・・・・・・・
投資家として大成功をおさめ、裕福な生活を送るニコラス(マイケル・ダグラス)。離婚を経験してからは、孤独で寂しい生活を送っていた。彼の48歳の誕生日に、弟のコンラッドからCRSという会社が実施する「ゲーム」への招待状を貰う。弟の強い勧めと好奇心から、内容も分からない「ゲーム」へ参加することを決めたニコラスだったが、ゲームに参加した直後から、彼の周りでは不可解な事件が頻発するようになった……。
・・・・・・・・・・・・・・
先述の通り、前半はめちゃくちゃ面白かったんです。
弟の誘いでゲームに参加したニコラスが、次々に不可解な事件に巻き込まれていく。自宅にピエロの人形が届いたと思ったら、テレビで流れていたニュースのキャスターがニコラスに向かって話しかける。とんでもないゲームに首を突っ込んでしまったと自覚するニコラスを観て、観客の我々にも凄まじい緊迫感が走ります。このシーンは本当に良かった。
中盤からニコラスの周りで立て続けに不可解な事件が起こるようになり、周りの人に疑心暗鬼になってきます。このシーンもそれなりに楽しく鑑賞できました。ところどころ見せ場が用意されているのでつまらなくはなかったですが、特に謎が解明されたりストーリーが進むわけでもないし、アクションシーンも地味で目新しさもありませんでした。
終盤のシーンは完全に蛇足です。繰り返される「実はこうでした」というどんでん返しのバーゲンセール。全く伏線も無いのでどんでん返しされても爽快感はありませんし、ストーリー全体の「いくらなんでも出来過ぎてる(上手くいき過ぎてる)」感が強くて楽しめませんでした。ニコラスが取り乱してクリスティーンの制止も聞かずにコンラッドを銃殺してバッドエンドって展開が一番綺麗に纏まった良いストーリーだったと思いますね。最後に無理やりハッピーエンドにした感じが凄い嫌でした。『セブン』であんな胸糞悪いエンディングを撮った監督とは思えないくらい、強引なハッピーエンド展開で完全に白けました。断言しますけど、コンラッド銃殺以降のシーンは全部蛇足です。
前半あんなに面白かったのに、なんでこんなに残念な結果になっちゃったんだろう。勿体ない作品でした。