劇場公開日 2002年12月7日

マイノリティ・リポート : 特集

2002年12月5日更新

この映画には、名作映画や小説の引用が多数登場、それらが映画の雰囲気作りに貢献している。その一部はスピルバーグの仕込みらしい。インタビューで、フィルム・ノワールとヒッチコックを意識したことを告白しているのだ。でも、それ以外はひょっとして無意識の産物? その具体例をみてみると――。

パート2:スピルバーグが「引用」を盛り込んだ?

編集部

<ミステリー>

●予知能力者プリコグ3人の名前アガサ、アーサー、ダシールは、みなミステリー&ハードボイルド作家の名。探偵エルキュール・ポアロでおなじみのアガサ・クリスティ、「シャーロック・ホームズ」のアーサー・コナン・ドイル、「マルタの鷹」のダシール・ハメットから。

<フィルム・ノワール>

●その「マルタの鷹」は映画化作も古典名作。スピルバーグは本作で、そのジョン・ヒューストン監督「マルタの鷹」(41)と、ハワード・ホークス監督「三つ数えろ」(46)にオマージュを捧げたかったと語っている。どちらもフィルム・ノワールの名作。

●闇医者ソロモン医師がアパートのTVで見ている映画はサミュエル・フラー監督の「東京暗黒街・竹の家」(55)。勘違いされた日本が舞台の異色フィルム・ノワール。

<キューブリック>

●クルーズはキューブリックの遺作となった「アイズ・ワイズ・シャット」に主演、スピルバーグは次にキューブリックが着手していた「A.I.」を引継いだ。

●そのキューブリックの代表作「時計じかけのオレンジ」の主人公アレックスと本作の主人公は、ドラッグ中毒とクラシック愛好が共通。

●両主人公ともトンネルで浮浪者に小銭をせがまれる。

●眼球に痛いことをされるのも同じ。

●本作の主人公が車で通り過ぎるビルの窓からみえるヨガ教室で、金持ちの老女が着てる衣装は、アレックスが殺した老女の衣装そっくり。

●「時計じかけのオレンジ」の原作者はアンソニー・バージェス。本作の犯罪予防局の局長の名もバージェス。

●もうひとつの代表作「2001年宇宙の旅」には本作同様、眼のアップシーンがある。

<「ブレードランナー」>

●原作者は同じフィリップ・K・ディック。

●どちらの映画も印象的な眼のクローズアップから始まり、このモチーフが繰り返される。両主人公とも眼球を検査される。

●本作のプリコグ看護人と、「ブレラン」で自作玩具に囲まれて暮らすセバスチャンは、キャラ設定が似ている。

●映画のオープニング前、ノイズ音にまじってかすかに「ブレードランナー」のテーマが聞こえるという説あり。この映画のサントラ冒頭に入っているので要チェック。

●スピルバーグ自身が語る2作の違いは「『ブレードランナー』の未来像は荒廃しているが輝いてもいる。本作の未来像はまるで違う。この映画にとっての原作は、プロダクション・デザインのようなもの」。

<ヒッチコック>

●最初の犯罪シーン、凶器がハサミなのは「ダイアルMを廻せ!」と同じ。

●逃亡中、眼鏡で変装するのは「見知らぬ乗客」と同じ。

●眼のアップは「サイコ」と同じ。

●傘の中の逃走は「海外特派員」と同じ。

●スピルバーグ自身いわく「『北北西に進路を取れ』や『知りすぎていた男』のような映画が作りたかった」

<カメオ>

●キャメロン・クロウ&キャメロン・ディアス

クルーズ主演「バニラ・スカイ」にスピルバーグがカメオ出演、そのお礼に本作には「バニラ~」の監督と共演女優がカメオで登場。地下鉄の中で新聞越しにクルーズを見る男がクロウ監督、その後に立っているのがディアス。

●ポール・トーマス・アンダーソン

クルーズが出演した「マグノリア」の監督が地下鉄の車内にいると言われているが、どこ?

●ウィリアム・メイポサー

クルーズのいとこ。主人公が息子の誘拐犯を追っていくホテルのクラーク役。

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