レジェンド・オブ・メキシコ デスペラード : インタビュー
ロバート・ロドリゲス監督インタビュー
「低予算で収めるための工夫は、クリエイティブな結果を生むんだ」 若林ゆり
──この映画は3作目を飛ばして4作目のような構成になっていますが、それはなぜ?
「実は、理由はサルマ(・ハエック)なんだ。製作が決まって彼女に電話すると、『フリーダ』の撮影中で4日間しか参加できないって言われてね。参ったなぁと思ったんだけど、すぐに考えた。OK、じゃあ彼女には死んでもらおう。フラッシュバックで登場してもらえば解決だってね。それで、映画全体の構成を変えちゃったわけ。僕はアクシデントもいい方向に利用する主義なんだ(笑)」
──「低予算でクリエイティブに」があなたの主義ですが、もしハリウッドが10倍の予算をくれるとしたらどうする?
「僕が低予算を居心地よく思うのは、自由でいたいから。低予算で収めるための工夫は、すごくクリエイティブな結果を生むと思うんだ。僕は10人兄弟の大家族で育ったから、倹約は得意なんだよ(笑)。でも、大金と自由をくれるなら、それはそれでエキサイティングさ。そういう巨大プロジェクトの話もあったし。もし大きな予算をもらえたら、まだ誰も見たことのない世界を作り上げるのためのエフェクトに回すね。予算以上のものを見せる。無駄遣いはしないよ!」
──あなたはいまでは、フィルム撮影には戻れないと思っているとか? デジタルカメラの利点はどんなことですか?
「ずっと早く動けることだよ。現場のモニターで、撮影しながら撮ったものを確認できる。必要とあらば、カメラを1時間でも回し続けられるんだ。だから役者に“これをやってみて。これも試して”って僕が言うと、ジョニーが“あれ、まだ撮影してるの?”って具合(笑)。みんなをとてもリラックスさせられるし、待たせることもない。役者だって役に入り込みやすくなる。無駄がない。エネルギーが保てる。もう、僕にとっては最高さ」
──あなたの親友クエンティンは「フィルム命!」ですよね? ケンカしない?
「僕はクエンティンが蒐集している古いフィルム・プリントを見るのは大好きなんだよ。昔のプリントは美しいからね。でも、いまは現像所が量産第一になって、クオリティが落ちてしまった。失望させられることが多くなったんだ。僕がデジタルを好きなのは、いつも僕らが狙った通りの映像を伝えてくれるからだよ。質の低下も起きないし。しかも僕は自宅にスタジオを持っているから、好きにいじれる。クエンティンにも、デジタルを試しにおいでよ、って誘ってる。彼も興味は持ってるよ。でも彼は、まだそれは神への冒とくのように感じているみたいなんだ(笑)」
──あなたは人生に何を求めますか?
「カロリーナのセリフだね。あれがあるのは、昔あるジャーナリストにそう訊かれたからなんだ。そのとき僕は、“自由になること”って答えた。そしたら彼が“シンプルですね”って言うから、僕は“ノー”って言ったよ。彼は驚いたようだったけど、ねえ、それってすごくクールじゃないかい?」