「イギリス男はかっこいいね」ラブ・アクチュアリー あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
イギリス男はかっこいいね
2003年製作のイギリス映画。135分。昔、ロンドンのバックパック宿に泊まった時に同室だった人から、最近のイギリスでは入籍しない自称「夫婦」カップルが急増しているといった話を聞いたことがありました。
法律上のわずらわしい制約を厭い、もっと気楽に夫婦生活を営みたいというのが、その動機だそう。都会では実にいろいろなことが現実になるものです。
本作は、ロンドンを舞台にした現代的なクリスマス群像恋物語。いろいろな背景をもった人のそれぞれのクリスマスを向かえるまでの時間が描かれています。その登場人物ときたら、首相から、刑務所をでたばかりのロックミュージシャン、妻を失ったばかりの男、ポルノ雑誌の撮影で知り合った男女、妻子持ちの編集長とその男をつけねらう女などなど。思い出すのが大変なくらい色々でてきます。
そのどれもがある意味、ありふれた恋物語なのですが、ちょっとネジが緩んでいるというか、どこか危険な趣があります。この作品にでてくる登場人物の多くは、恋という感情に酔いしれて、現実をいとも簡単に踏み外していく人々なのです。
そんな群像劇をコメディタッチに描きながら、クリスマスイブまでのボルテージを高めていって、最後にパーっと終わるのですが、それがとても西洋的な感覚。サンタクロースは出てきませんが、まるでクリスマスの精霊が宿っているかのような作品です。
本作で特に印象に残ったのが、映像の色合いがとても綺麗だということ。ここまで色彩豊かなイギリス映画を観たのは、本作が初めてかもしれません。そんな意味でも、本作はイギリス映画のなかでも異色だと思います。
それでも、個人的には、途中からかなり展開がだれたように感じ、けっこうウトウトしていました。丁寧に作り込みすぎていたように思います。
ヒュー・グラントの首相役が意外にはまっていて好印象。
これからクリスマス気分をじわじわ盛り上げたい人はどうぞ。