「「ランボーが使ってた銃をくれ!」「1、2、3・・・どれ?」「1しか観てない」「じゃ、M60だ。ほれ」」ロード・オブ・ウォー kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
「ランボーが使ってた銃をくれ!」「1、2、3・・・どれ?」「1しか観てない」「じゃ、M60だ。ほれ」
僕は弾丸。真鍮板から生まれたんだよ。検査を受けて、箱に詰められ、遥かな異国の地アフリカに渡って来ちゃった。今まさに銃に込められ撃たれたたんだ。あっ、ぶつかる!人間の頭にぶつかっちゃう~~といった具合にオープニング映像がはじまった。
武器商人ユーリー・オルロフの独白でこの映画の凄さ、世界の戦争の裏舞台を思い知らされる。いつもならニコラス・ケイジのハゲ具合ばかりに注目してしまうのですが、途中からチェックするのをすっかり忘れてしまうほど没頭してしまった。生い立ちから武器商人の道を選ぶまでの告白や、各地を飛び回ったときに見つける運命の女性。生々しい戦争の映像がなければ、純粋な一人のビジネスマンのサクセスストーリーとして映る内容なのです。そのビジネスの才能が発揮されるのはソ連崩壊・冷戦終結の時点。商売の才能がなければ、米ソ対立の崩壊によって商売が出来なくなるところをこの男は見事に乗りきり、逆にはずみをつけてしまう。
もちろん、この映画はアメリカの大国主義と戦争が大好きな世界の風刺と告発がメインテーマ。笑えるシーンやガンオタクも唸ってしまうシーンを織り交ぜながら、スリリングな展開で戦慄を感じさせる。また、倉庫の中の銃は偽物を使うよりも本物を使ったほうが安く上がるといった驚愕の事実や、アメリカ資本が投入されていないという事実からもリアル感を盛りたてている。
他の役者では、インターポールの銭形(イーサン・ホーク)とのやりとりが面白いし、弟ジャレッド・レトーがもいい味を出していた。また、同じLORDでも長期間指輪の持ち主であったビルボ・バギンズ(イアン・ホルム)が、この映画では主人公ユーリーが教えを乞おうとした一時のLORDであったことも面白い。弟がコカイン中毒になってしまうときに、エリック・クラプトンの「コカイン」が流れてきたときには笑ってしまったぞ!
【2005年12月映画館にて】