愛についてのキンゼイ・レポートのレビュー・感想・評価
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「映画」としては普通
主題やテーマについては明確です。そこに問題はありません。 但し「映像表現としての映画」としては脚本通りに映像化しただけなので、特に感銘は受けません。 悪くはないし結構面白いけど、脚本とストーリーの勝ちですね。 なお「愛についての」は余計、てか間違い。 「性について」もしくは「性的傾向について」です。 博士が「愛についてはレポートできない」と劇中で明言してます。 タイトルのセンスがない、というかサギですね。「愛」のつくタイトルにろくなのがない。
エポックメイキング
カップル1、女性カップル1、男性1人客が2、女性1人客が1・・・これじゃサンプルが少なすぎる!もっと調査しないと客層がつかめない!
60年代のキンゼイ・レポートは確かに様々な分野に影響を及ぼし、エポック・メイキングであったと思われる。その内容は今まで全く知らなかったし、知りたいとも思わなかった。もっと医学的な見地からのモノだとばかり思っていたし、ほとんど統計学みたいなモノだと知って愕然としてしまった。結局は、個々のセックス意識が異常ではないことを発見して安堵感を味わえるためにベストセラーになった・・・ということかもしれない。
面白かったのは、トリビア的なキンゼイの半生。彼が生物学の助教授であり、“タマバチ”という昆虫の研究を続けるという一風変わった学者であったことだ(どこまでが脚色なのかわ知らない)。タマバチを十万匹集めて、全て姿が違うことを証明するなんてすごいぞ!昆虫を集めることで『コレクター』を思い出し、『ジュラシック・パーク』を思い起こすシーンもあった・・・
保守的な風土を打ち破ったというキンゼイの功績は感じられるのですけど、あの家族の会話だけはちょっと苦手だ。それに、全て実験台という名の下にオープン過ぎる肉体関係や、愛のあるセックスと愛のないセックスを全て一緒にしてしまってることなど(オチはありますが)。人間も動物も同一視してることには共感は得られませんでした。
これ以上書くと、自分の性癖がバレてしまいそうなのでやめておきます。とにかく、レインコートは忘れずに・・・ジョンもピーターもディックもよく頑張ったね。
ビル・コンドンからキンゼイ博士へのラブ・レター
本作の監督のビル・コンドンは、ゲイであることを既にカミング・アウトしているが、彼が自身の作品の題材として、あらゆる性癖に対する偏見と誤解を取り除くことに心血を注ぎ、性の持つ大らかさや素晴らしさを訴えたキンゼイ博士を取り上げたのは、必然のことだろう。 映画全編を見渡してみても、コンドンのキンゼイ博士に対する愛情が至るところに溢れている。例えば世間からの激しいバッシングを受け、研究への資金援助も断たれ、自分の研究が無為なものであったのかと打ちひしがれたキンゼイ博士の元を訪れたレズビアンの女性が博士に語りかけるその言葉は、まさにコンドン監督からキンゼイ博士へのラブ・レターそのもの。それは、性別や性癖の壁を超えて感動的なのだ。 と、ここまで堅い話をしてきたが、この作品は、もちろんノンケの人が観ても楽しめる作品(私もノンケです。あしからずw)。中でも、内に秘めた同性に対する興味に目覚め、自分の愛弟子とベッド・インしてしまうキンゼイ博士の猪突猛進ぶりは、自分の家族に持ったら困り者かもしれないが、観ていて何とも微笑ましいのだ。ちょっときれいにまとめ過ぎたきらいもあるが、そこら辺は好みの問題。秀作であるのは確かだと思う。
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