キング・コング : 特集
「キング・コング」がもっと面白くなる基礎知識
■【その6】キング・コングはゴラム方式のモーション・キャプチャー製
33年版のキング・コングはストップモーション・アニメ製、76年のキング・コングはリック・ベイカー製、本作のキング・コングはゴラム方式のモーション・キャプチャー製。演じた俳優もゴラムと同じアンディ・サーキス。サーキスはコングの演技のために、ロンドン動物園とルワンダでゴリラの行動様式を学んだ。さらに実際のゴリラの表情を取り入れるため、人間の表情をゴリラの表情に翻訳するソフトを開発。サーキスの演技をキャプチャーしてゴリラの様式に翻訳し、キング・コングが作られていった。
■【その7】コングの登場シーンにはすべてアンディ・サーキスが撮影現場にいた
「ロード・オブ・ザ・リング」でゴラム役のサーキスが、ゴラムが出演するシーンのすべての撮影現場にいたのは有名。今回もコングの登場シーンにはすべて撮影現場にいた。そのおかげでアン・ダロウを演じるナオミ・ワッツは、棒の先を見てコングだと思い込む必要はなく、高い処にいるアンディ・サーキスを目を合わせて演技することができた。ちなみにコングがアン・ダロウを手に持っているシーンでは、サーキスはアン・ダロウの替わりに人形を使用。バービー人形や布製の人形などを場面によって使い分けた。
■【その8】33年版にはティラノサウルス、ブロントザウルス、プテラノドンなどが登場したが、今回はクリーチャーの種類も数も激増
しかも監督が目指したのはリアリズムではなく「昔のSF映画に出てくるような恐竜」なので、最近の研究の成果とは無関係に、大きなウロコ、尖った歯、ワニのような皮膚の昔ながらの恐竜たちが多数登場する。さらに、ドラマの舞台となるスカル・アイランドには、ガラパゴス諸島のように独自の進化を遂げた生物たちが棲息しているという設定。なので、空を飛ぶトカゲのような生物や、沼地に棲息するおぞましい形態のクリーチャーなど、ジャクソン監督オリジナルの生物も続々登場。結果、本作のために作られたクリーチャーの数は「ロード・オブ・ザ・リング」3部作を合わせた数よりも多くなった。
■【その9】キング・コングの住む島スカル・アイランドはほとんどがCG製
できるだけ33年版のスカル・アイランドと同じの雰囲気の世界を描きたいと考えた監督は、人工的に作るしかないと決意。スカル・アイランドを描くために全部で53の模型とセットが作られた。ちなみに、30年代のニューヨークもすべてセットとCGで製作。シネスコのスクリーンいっぱいに展開される「ロード・オブ・ザ・リング」のWETAが総力を結集した目を見張る景観は、本作の見所のひとつだ。
■【その10】船員ジミーが読んでいるのは「地獄の黙示録」の基になった本である
「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベルが演じる船員ジミーが読んでいる本は、ジョセフ・コンラッドの1899年の小説「闇の中」。船乗りマーロウは、コンゴ川の奥地に住むクルツという男の伝説を追って奥地へと突き進んで行く。フランシス・フォード・コッポラ監督の「地獄の黙示録」の原型となった作品としても有名。