ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲 : インタビュー
ケビン・スミスは、いったいどんな男なのか? その謎を、「クラークス」以来、彼が自作で演じつづけてきたサイレント・ボブと相棒ジェイが主人公の「ジェイ&サイレント・ボブ/帝国への逆襲」を引っさげて来日したご本人が解いてくれた。きょとんと目を見開く表情も、親指を立てる仕草も、サイレント・ボブそのまんまの気のいいお兄さん。もちろん、あんな無口じゃありませんが。
ケビン・スミス監督 インタビュー
「メジャー映画に殴り込みかけてるつもりはないんだ」
杉谷伸子
――もともと「ジェイ&サイレント・ボブ/帝国への逆襲」は、潰されそうなクイックストップをジェイとサイレント・ボブが救う話だったとか。「ブラントマン&クロニック」の映画化を阻止する旅に変えたことで、映画ネタもふんだんに盛り込めましたね。
「そう、クイックストップがスターバックスになるのをジェイとサイレント・ボブが阻止するって話じゃ、広がりがないってミラマックスのボブ・ワインスタインに言われたんだ。話を広げると“お金かかるぜ”って言ったら、彼も“いいよ”って言うし(笑)。確かに、この題材にしたことで、これまでみたいに台詞で遊ぶだけじゃなくて、映像的にもパロディ化できたのは楽しかったね」
――それにしても、「グッド・ウィル・ハンティング2」を撮影しているっていうアイディアが凄すぎ。
「我ながら、いいアイディアだと思ってるよ。続編なんて作れそうもない作品なのに、無理矢理こじつけて作っちゃうあたりが、いかにもミラマックスって感じだろ(笑)? クイックストップを救うプロットだったときから、『グッド・ウィル・ハンティング2』を撮影中っていうアイディアはあったんだ。救済資金を作るために『ブラントマン&クロニック』のアニメを作るので、ジェイとボブがベンとマットにボイスキャストの依頼に行くっていうわけ。ベンはホールデン役で出るのが決まってたし、マットも小さい役で出ることになってから、俺としては、彼らが本人役を演じるのはかえってリアルじゃないと思ってた。ベンとマット役はジョン・ファブローとバンス・ボーンや、ワイアンズ兄弟を考えてたんだ」
――この洒落がわかるベンたちもナイスですが、彼らもハリウッドへの金儲け主義には批判的ってことですよね?
「いや、意図的にハリウッドのメジャー映画に殴り込みかけてるつもりはないんだ。ただ、ベンなんかは特に“くだらない映画に出てる”っていう自覚があるんだよね。“『偶然の恋人』なんかに出やがって”みたいなことは、仲間内で言ってることだし(笑)。ジェイとホールデンが、『ファントム』のベンがいいとか悪いとかじゃれあうけど、俺は『ファントム』は全部観てないくらいだし。こうやって話してたら、奴等のやりとりが観たくなってきたよ」